米大手ピザチェーンのリトル・シーザーズ(Little Caesars)は、インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)社が開発した植物ベースのソーセージを使用した「インポッシブル・シュプリーム・ピザ」の試験販売を実施する。
インポッシブル社が植物ソーセージを開発するのは初めて。また、全米規模のピザチェーンが、植物由来の代替肉を使用したメニューを発売するのは初めての試みとなる。
リトル・シーザーズのディビッド・スクリヴァノ(David Scrivano)代表兼最高経営責任者(CEO)は「肉の代替品のトレンドはここ数年間一定していたが、昨年が転換期となった。」とCNBCに参入のきっかけを語った。ニールセンによると、植物ベース製品の分野は昨年、他の食品分野の2%に伸びに比べて、17%成長した。「これは肉を食べる人によるもので、植物ベースの食事を摂取する人のためのものだ。」と菜食主義者以外のマーケットが急拡大していると強調した。
リトル・シーザーズのエド・グレイヒ(Ed Gleich)チーフ・イノベーション・オフィサーは、「肉も食べる緩やかな菜食主義者、フレキシタリアン(flexitarian)は増加している。ハードコアなビーガンやベジタリアンではないが、彼らは、食に対する冒険心を持っている。」と述べ、ピザは(チーズなどもトッピングされているため)ビーガン向けでなく、肉が好きな人のために開発したと語っている。
CNNによると、当初インポッシブル社は、インポッシブル・バーガーのビーフパティをピザに使用することを考えていた。しかしリトル・シーザーズでは、ソーセージのトッピングの人気がより高いことから、顧客のニーズに合わせて植物ベースのソーセージが開発された。
インポッシブル・ソーセージのコレステロールはゼロで、脂肪分は通常のソーセジの約半分の17グラム、 熱量は270カロリー(1パウンドあたり)。
インポッシブル社のパトリック・ブラウン(Patrick Brown)最高経営責任者(CEO)は、同社の顧客は何年も植物ソーセージを求めていたとし、今回リトル・シーザーズのために50のプロトタイプを開発したと声明で述べた。
リトル・シーザーズは今後、フロリダ州、ニューメキシコ州、ワシントン州で約4週間の試験販売を行う。
拡大する植物ベースの代替肉市場
米国では、健康や環境に配慮し、肉好きの間でも植物ベースの肉に関心を持つ人口が増加している。
ユーロモニター・インターナショナル(Euromonitor International)の調査によると、米国の植物肉の市場は、2018年の14億ドルから2023年に25億ドルに拡大し、また世界全体では2018年の187億ドルから、2023年に230億ドルに拡大すると予測される。
米国のレストランチェーンでは、バーガー・キング(Burger King)や、ホワイト・キャッスル(White Castle)、キュードバ(Qdoba), カールスジュニア(Carl’s Jr.)、ベアバーガー(Bareburger)などで、植物肉を使用したメニューの販売を開始している。マクドナルドは、ヨーロッパでミートレスバーガーを販売すると発表した。
先月インポッシブル社は、需要の高まりにより、商品在庫が底をついたと発表した。5月より一部のバーガーキングで、植物肉を使用したインポッシブル・ワッパーの発売が開始されたため、昨年の2倍以上の7,000店舗で販売されている。
同社は、5月に3億ドルを資金調達を行うことを発表した。2011年以降、資金調達額は7億5,000万ドルに上る。ブラウンCEOは、IPOに関して、急いでいないとCNBCに述べている。
競合のビヨンド・ミート(Beyond Meat)は2日、ナスダックに株式を上場した。IPOにより2億4,000万ドルを調達し、時価総額は15億ドルから38億ドルに上昇した。