29日、ロシアによる2016年大統領選挙介入および大統領の司法妨害に関する捜査を担当したロバートモラー特別検察官が公の場で声明を発表した。
モラー氏は、約2年間におよんだ捜査を4月に終え、捜査報告書を司法省に提出した。捜査開始後、初めての会見に注目が集まった。
冒頭、モラー氏は捜査の開始理由について述べた。
ロシア側情報機関による、クリントン陣営へのサイバー攻撃とウィキリークスへの情報漏洩、市民になりすましたロシア人によるSNS活動など、現在大陪審で起訴されている事件に触れ、これら政治システムへの介入が特別検察官の設置理由の一つであると述べた。また、ロシア介入は、司法妨害の捜査び理由でもあるとし、証人から完全で正確な情報を得ることが最も重要であったと語った。
現在、共和党議員からは、ロシア捜査を開始した根拠について調査を求める声が上がっている。
続けて、モラー氏は司法妨害について、大統領を起訴するべきかどうかの判断を下さなかった理由を述べた。
モラー氏は改めて、現職の大統領は訴追されないとする司法省の見解に言及。司法省の下部組織である特別検察官は司法省の方針に従うと述べ、大統領を罪に問うことは「選択肢にない」と語った。
一方で、捜査を進めたことについて、司法省の方針は大統領への捜査を許可しているとし、記憶が鮮明で資料が入手可能なうちに証拠を保存するほか、現時点で訴追が可能な共犯者に対し証拠を利用するためであると述べた。また、現職の大統領を告発するために、憲法は刑事司法制度以外のプロセスを要求していると述べ、捜査の正当性を強調しつつ、さらなる追求は立法府の判断にゆだねる姿勢を示唆した。
大統領の弾劾について、ペロシ下院議長は反対の姿勢を示しているものの、民主党と一部の共和党議員から弾劾決議を求める声が高まっている。
モラー氏は最後に、レポートは特別検察の最終的な立場であるとし、「公にされたレポートの内容を超えて、議会に提供する情報はない」と語った。
民主党議員らは、捜査証拠の開示や、司法妨害の訴追を見送った決定に関し、モラー氏から直接の証言を求めている。今月初め、5月15日にモラー氏が司法委員会で証言を行うとの憶測が流れると、トランプ大統領は「モラーは証言をすべきではない」とツイッターで反対を表明した。ジェロルド・ナドラー委員長は先週、モラー氏は非公開での証言を求めていると述べていた。
モラー氏の会見後、トランプ大統領が早速ツイート。「モラーレポートに変更はない。証拠不十分であり、無罪だ。捜査は終了。ありがとう!」