米書店チェーン最大手のバーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)は7日、ヘッジファンドのエリオット・アドバイザーズ(UK)リミテッドに、6億3,800万ドルで同社を売却することで合意したことを発表した。
エリオットは昨年、英書店チェーンのウォーターストーンズを買収している。ウォーターストーンズと経営は分けるが、同書店のジェームズ・ダント(James Daunt)最高経営責任者がバーンズ&ノーブルのCEOを兼務する。
バーンズ&ノーブルは、現在、全米に627店舗を展開する全米最大の書店チェーン。オンライン販売や電子書籍の対応に遅れ、過去10年で150店舗を閉鎖するなど、経営環境が悪化していた。
エリオットは、買収報道前の水曜の株価に42セント近くのプレミアを乗せた一株あたり6.5ドルで、現金による買収で合意。金曜昼の時点で、株価は12%以上上昇し、6.68ドルとなった。
バーンズ&ノーブルの創業者で会長のレオナルド・リッジオ氏は声明で、「書籍販売市場において彼ら(エリオット)が成功していることから、私は、我々の企業の長期的な改善と成長に彼らが特別に適していると考えている。」と語った。
ニューヨークタイムズによると、ダント氏は、2011年にウォーターストーンズのCEOに就任した。大型チェーンというよりも、独立書店の集合体のような運営方法で、ウォーターストーンズを倒産から救った。自身は、就任前に独立の書店チェーンを経営しており、同様のアプローチをバーンズ&ノーブルにも採る意向を述べている。「重要なことは、テンプレートがないということだ。何か魔法の食材があるわけではない。アラバマのバーミンガムの書店は、ボストンのダウンタウンのものと大きく違うものになるだろう。同じ方法で同じものを売る必要はない」とインタビューで語っている。
声明では、同一のCEOのもと、両社間でベストプラクティスを共有できると利点が述べられている。
エリオットを率いるポール・シンガー氏は、2001年にデフォルトに陥ったアルゼンチンの債権をめぐり、10年以上の法廷闘争を繰り広げた。元手の392%にあたる24億ドルの支払いを獲得し、クリスチーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル元大統領は「ハゲタカ君主」、組織を「金融テロリスト」と称した。共和党のメガドナーで、2016年大統領選の共和党予備選では、保守系ウェブサイト「Washington Free Beacon」を通じて、スティール文書を作成したフュージョンGPSに、トランプ大統領を含む候補者に対するオポジションリサーチを依頼したとされる。