ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)州知事は17日、地下鉄とバスに警察官500人を配備する計画を発表した。
クオモ知事は、交通システムの総合的な安全性の向上がゴールだと述べ、特に無賃乗車と職員に対する暴行の防止に焦点を当てた対策だと述べた。
昨年、MTA職員に対する2,300件の暴言などの嫌がらせ行為があった。切りつけや殴打などの暴力行為も100件報告されている。先週末に、ハーレムの145ストリートで、職員が暴行される事件が発生ている。
無賃乗車に関しては、頻繁に発生する”ホットスポット”100箇所(地下鉄50箇所、バス停留所50箇所)や、利用者の多いユニオンスクエアやペンステーション、グランドセントラルに追加で警察官を配備する。配置換えしたMTA警官200人、ブリッジ&トンネルを担当する警察官100人、NY市警察200人の計500人が警備にあたる。
クオモ州知事は会見で、無賃乗車は法律に違反するだけでなく、これらを見逃しながら、運賃を値上げするのは、他の人にとって不公平だと述べた。
無賃乗車による損失額は260億円に
MTAの調査によると、バス利用者の5分の1は運賃を支払っていない。無賃乗車は毎年増加しており、今年のMTAの損失推定額は、2億4000万ドル(約260億円)にのぼる。
会見にはMTAのパット・フォイエ(Pat Foye)会長と、マンハッタン地区のサイラス・バンス・ジュニア(Cyrus Vance, Jr.)検事も同席した。
昨年、バンス検事は、違反者を刑事犯罪で訴追することを中止し、裁判所への召喚命令を出すと発表している。
ヴァンス検事は、検事局が今後4年間で4,000万ドルの警官の訓練費用を提供すると共に、新たな監視カメラの資金を調達すると述べた。
クオモ知事の発表に対し、法的サービスを行うリーガル・エイド・ソサエティー(Legal Aid Society)は、運賃を払うことのできない低所得者層が、さらに犯罪を重ねることに繋がると非難。州や市は彼らに交通運賃の補助を行う「フェア・フェアーズ計画」(Fair Fares program)を推進すべきだと述べた。