ミッドタウンのプラザホテルの隣にある独立系映画館「パリス・シアター」(The Paris Theater)が、閉館の危機に瀕しているという。映画専門サイトDeadlineが報じた。
現在ロン・ハワード(Ron Howard)監督のドキュメンタリー映画「パヴァロッティ」(Pavarotti)が上映されているが、次回作は空白となっている。
デッドラインは「何かドラマチックな展開がなければ、閉館するだろう。」と述べており、同作品が最後となる可能性がある。
創業71年目を迎える老舗映画館
1948年創業のパリス・シアターは、女優のマレーネ・ディートリヒ(Marlene Dietrich)がテープカットを行った。
現在、不動産デベロッパー、シェルドン・ソロー(Sheldon Solow)氏が劇場を所有する。運営は、ヴィレッジ・イーストシネマなどのシティ・シネマ(City Cinemas)。ボブ・スマーリング(Bob Smerling)氏が劇場ブッキングを行い、数々のアート系映画を上映してきた。
マンハッタン唯一のワンスクリーンの劇場型の映画館で、586の座席を有する。数ブロック先にあった1969年の「ジーグフェルド・シアター」(Ziegfeld Theater)も同じくワンスクリーンで、1,300席の映画館だったが、2016年に閉館した。
昨年は、ランドマーク・サンシャイン・シネマ(Landmark’s Sunshine Cinemas)や、アッパーウエストのリンカーン・プラザ・シネマ(Lincoln Plaza Cinemas)など、アート系作品を上映する映画館が次々と閉館している。
パリス・シアターの閉館は配給会社にとっても、深刻な問題をもたらす。同映画館で多くのアート系作品を上映してきたソニー・ピクチャーズ・クラッシックス(Sony Pictures Classics)のトム・バーナード(Tom Bernard)氏は、「映画がヒットし、アカデミー賞のシーズンまで何ヶ月間も上映された場合、パリス・シアターによる興行収入は、全体の3分の1を占める可能性もある。」とデッドラインに語っている。
さらに、長期間上映できる映画館が減っているため、『グリーンブック』のように、口コミで徐々に広がっていく作品を生み出すのは、今後難しくなるだろうと述べた。