グッゲンハイム美術館で、ジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)(1960-1988)の展覧会「Defacement: The Untold Story」がスタートした。
7階の展覧会場では、25歳で死亡した黒人アーティスト、マイケル・スチュワート(Michael Stewart)を追悼するためにバスキアが描いた「The Death of Michael Stewart」(1983、非公式には「Defacement」と呼ばれる。)に焦点が当てられる。
バスキアの他、キース・ヘリング(Keith Haring)や、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)など同年代に活躍した画家らが、スチュワートへのオマージュや、警官による暴力に抗議するため製作した約20作品が展示される。
死亡したマイケル・スチュワートは、イースト・ヴィレッジのニューヨーク地下鉄の壁にスプレーでタグ付け(落書き)を行っていたところ、ニューヨーク市交通警察に逮捕された。拘束の際の暴力により、13日間意識不明の後、心停止で死亡した。
美術館によると、キース・ヘリングのスタジオの壁に描かれた「Defacement」は、公にする目的ではなかったため、これまでほとんど展示されたことはない。
警察官の暴行に対する抗議活動を通じて、バスキアの黒人としてのアイデンティティーの探求や、彼の美的かつエンパワーメントされた言語を紹介する。
さらに、バスキアが黒人を偶像化するため、シンボルとしての王冠のモチーフを使用したことや、警察当局との戦い、1980年代初期の文化的な権利擁護運動など、作品の背景を知ることができる。
展示作品の一例
- キース・ヘリングの「Michael Stewar―U.S.A. for Africa」(1985)
- アンディ・ウォーホルのニューヨークデイリーニュースの記事をシルクスクリーン印刷した「headline」
- デイビッド・ハモンズ(David Hammons)のステンシルプリント「The Man Nobody Killed」(1986)
- ライル・アシュトン・ハリス(Lyle Ashton Harris)のポートレート写真「Saint Michael Stewart」(1994)など。
パブリックプログラム
7月9日から30日まで毎日午後6時より、バスキアや関連映画を上映する。
- サラ・ドライバー(Sara Driver)監督の映画「The Late Teenage Years of Jean-Michel Basquiat」(2017)
- タマラ・ディヴィス(Tamara Davies)監督の映画「Jean-Michel Basquiat: The Radiant Child」(2010)
- 1989年のスパイク・リー監督の映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』(Do the right thing)(1989)*マイケル・スチュワートへのオマージュとして製作された。
詳細は公式サイトを参照
Solomon R. Guggenheim Museum(7F)
「Defacement: The Untold Story」
期間:6月21日から11月6日まで
住所:1071 5th Ave, New York, NY 10128
www.guggenheim.org
現在グッゲンハイムでは、初めてアーティストがキュレーションを担当した展示会「Artistic License」を開催中。
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