26日と27日の2日間に渡って開催された2020年米大統領選挙の民主党候補者討論会は、最有力候補のジョー・バイデン元副大統領の人気に少なからず影響を与えることとなった。
バイデン氏は、バーニー・サンダース上院議員やカマラ・ハリス上院議員、ピート・ブティジェッジ市長、その他6人の候補者とともに2日目の討論会に登場した。
討論では、キャリアや知名度でリードする元副大統領の政治姿勢を厳しく問うカマラ・ハリス議員とのやりとりに注目が集まった。
ハリス議員はバイデン氏に対し「あなたは人種差別主義者ではないと思うが」と前置きをしながら、「この国において人種差別で名を成し、キャリアを築いた2人の上院議員の名声について語るのを聞いて、傷つけられた」と、バイデン氏の先週の発言に言及。人種融合に反対する議員らとの過去の協力を、自らの政治手腕の一つとするバイデン氏の姿勢を非難した。
バイデン氏は先週、ニューヨークで開催したファンドレイジングイベントで、1970年代に「私は幹部会でジェームズ・イーストランド議員(James Eastland)と一緒だった。彼は私を決してボーイとは呼ばなかった。いつも私を”息子”と呼んでいたんだ」と語った。
ミシシッピ州選出のジェームズ・イーストランド議員は1964年公民権法に反対し、人種隔離を支持した議員として知られる。
また、バイデン氏はイベントで「少なくとも、そこにはある程度の作法があった。」と加え、「我々は多くのことで意見が異なったが、ことを成し遂げた。やり遂げたんだ」と述べた。「しかし今日、人々は向こう側を敵視している。反対ではなく、敵だ。互いに話あうことさえない。」と、政治問題について語っていた。バイデン氏は出馬にあたり、「政治家が分断を売り物にしている」など、互いに敵対する政治手法を非難し、党派を超えた結束を呼びかけている。
ニューヨークのイベントの翌日、ハリス議員のほか、コーリー・ブッカー上院議員やビル・デブラシオNY市長など複数の候補者が、バイデン氏の発言を非難をしていた。
討論会でハリス議員はさらに、人種融合策として70年代に都市部などで義務付けられた、学区を超えて通学バスを提供する制度(バシング- Busing)について、人種差別的な議員らとともにバイデン氏が反対に回った、と過去の立場について批判を展開。自らが融合政策下にある公立学校のクラスの生徒だったことも明かした。
「バシングに反対したことが誤りだったと、あなたは同意するか」と問い詰めるハリス議員に対し、バイデン氏は、「私はバシングに反対したのではない。教育省によって命じることに反対したのだ」と、政府による義務付けが反対の理由だったと反論した。
討論会後、バイデン氏が支持率を下げる一方、ハリス議員の支持率は討論会前の7.9%から16.6%に上昇した。
ハリス議員は29日、討論会終了から24時間で200万ドル(2億1,600万円)の寄付金が集まったことを発表。寄付者は63,277人で、このうちの60%は初めての寄付者だったという。