欧州委員会は17日、オンライン小売大手のアマゾンに対し、競走法違反の可能性を巡る調査を正式に開始したことを発表した。
発表によると、調査は、アマゾンのマーケットプレイスにおける販売者と運営者の2重の役割に焦点をあてる。アマゾンが第三者セラーの取引に関する機密情報を、競争上不正に使用している事実を、事前に把握しているという。
具体的には、セラーのデータの分析・使用に関わるアマゾンとセラー間の合意内容や、セラーの機密情報の使用が、ショッピングカートボックス(Buy Box)獲得の選択に与える影響を調査する。欧州委員は、取引の大半はショッピングカートボックスを通じて発生するため、セラーにとってショッピングカートボックスの獲得は需要であると述べている。
CNBCによると、欧州委員会は昨年から販売事業者らにアマゾンがどのようにデータを収集しているか、聞き取りを開始していた。アマゾンによる競争法違反が明らかになった場合、制裁金は全世界収入の10%に上る可能性がある。
アマゾンの2重の立場を利用した商慣行については、各国で規制当局が監視を強めつつある。
ドイツの規制当局は17日、7ヶ月におよぶ調査を取り下げ、セラーとアマゾン間のプラットフォーム利用に関する契約内容を修正することで、アマゾンと合意にいたったことを発表した。変更はドイツ国内だけでなく、イギリス、フランス、スペイン、イタリア、米国、アジアに適用されるという。
またアマゾン社の代表は昨日、下院司法委員会の反トラスト法に関する小委員会に出席。議員の質問に対し、第三者セラーのデータを、自社ブランド製品の開発や販売促進に使用していないと証言を行なった。
2020年大統領選の民主党候補の一人、エリザベス・ウォーレン上院議員は、3月に発表した公約の中で、「アマゾン社は、アマゾンマーケットプレイスで販売されている商品を模造し、自身のブランドで販売することで、中小企業を潰している。」と指摘。アマゾン・マーケットプレイスとベーシックスの分割が必要だと見解を示した。