ストックホルム検察は25日、市内で男性に暴行を加えたとして拘束中の米ラッパー、エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)を含む3人を起訴したことを発表した。
検察は声明で「本日、身体への傷害を引き起こした暴行容疑の3人に対する刑事訴訟手続を開始した。正当防衛と挑発行為があったとする主張に反し、問題となった事件が犯罪であるという結論に達した。」と発表した。
ニューヨークタイムズによると、ロッキーの拘束は審理がスタートする火曜日まで継続される。有罪となった場合、所得に応じた罰金刑、または最大で2年の禁固刑が言い渡される可能性があるという。
ロッキーは6月30日、ツアーのために訪問していたスウェーデンのストックホルムの路上で、仲間とともに2名の男性に暴行を加えた。SNSに出回っているビデオでは、被害者がヘッドフォンを巡って言い争う様子や、ロッキーが、男性を地面に投げつけ、横たわったところを複数人で暴行を加える様子が確認できる。
ロッキーの弁護士Slobodan Jovicic氏は自己防衛だと主張。制止にもかかわらず、男性らがロッキーをつけ回し、ハラスメントを行なったとしている。
検察官は「インターネットで事前に入手可能だった情報よりも、はるかに多い証拠がある」と発表した。加えて「被害者側の証言を裏付ける目撃証言がある」と明かした。
また、暴行による被害者は2名だったが、片方については証拠不十分で、容疑を取り下げたことも明かした。
トランプ大統領も参戦
ロッキーらは今月5日に拘束された。拘束の長期化にともない、人権団体のほか、ジャスティン・ビーバーやキム・カーダシアン、ニッキー・ミナージュといった有名人が釈放を求めていた。
有名人らの働きかけに、ホワイトハウスも関心を示した。トランプ大統領は20日、スウェーデンのステファン・ロベーン首相と電話で会談。個人的に保釈金の保証を申し出るなど、関心の高さをアピールした。しかしロベーン首相は司法手続きに政府が介入することはないとして、事件を特別扱いをしない意向を伝えた。
ロッキーの母親レニー・ブラック氏はTMAに対し「人種カードと呼びたくないが」としつつ「しかし、私にはそのようにみえる」「カモのように歩き、カモのように鳴くならば、カモなのだ」と人種特徴にもとずくバイアスがある考えを示唆した。
一方、タイムズの取材に答えたスウェーデンの人権活動家のLovette Jallow氏は、国内の人種差別問題は深刻であるとしつつ、「エイサップ・ロッキーの事案は、人種差別のケースではない」と語った。