2020年大統領選の民主党有力候補のバーニー・サンダース上院議員は、公約として発表した一連の刑事司法改革案の中で、法執行機関による顔認識ソフトウェアの使用禁止を呼びかけた。
サンダース議員はこのほか、営利目的の刑務所の禁止や、保釈金の廃止、独房監禁の廃止、マリファナ非犯罪化など、幅広い改革を提案している。
大統領選候補者の中で、顔認識の禁止を提唱するのはサンダース議員が初めて。なお、カマラ・ハリス上院議員とコーリー・ブッカー上院議員は昨年、他の議員とともに連邦取引委員会に提出した書簡で、顔認識ソフトの抱える人種やジェンダー差別の問題について懸念を表明している。
サンダース陣営の広報はCNNに対し「警察による顔認識ソフトウェウアの使用は、オーウェル的な技術の最新の例だ。公共の安全を口実に我々のプライバシーと市民の自由を侵害しており、止めなければならない」と語った。
顔認識技術の捜査機関における使用については、不正確性や、人種や性別のバイアスにつながる懸念、適正な使用手続きが定まっていないことから、規制を求める声が高まっている。今年5月、ジョージタウン大学ロースクールの調査により、ニューヨーク市警察が、顔認識システムで犯人を特定する際に、加工した画像や他人の画像を使用していたことが判明した。あるケースでは、防犯カメラに映った万引き犯の画像が不鮮明で、システムを通じて犯人特定ができなかったため、犯人に似ているとして俳優のウディ・ハレルソンの画像が使用されていた。
地方行政レベルでは、徐々に規制の動きが広がりつつある。カリフォルニア州のサンフランシスコ市政執行委員会は5月、市の行政機関による顔認識技術の使用を禁じる条例を可決した。その後、カリフォルニア州オークランドとマサチューセッツ州サマービルでも捜査機関の顔認識の使用禁止が決定された。