カリフォルニア州の上院予算委員会は8月30日、従業員と個人請負業者の分類に関し、労働法などの一部を変更する法案、Assembly Bill5(AB5)を承認した。法案は5月に州議会下院を通過している。上院では9月中に採決が行われる見通し。
Voxによると、AB5では、Dynamex社の従業員の待遇を巡る裁判で、2018年に州最高裁が採用した判断基準が拡大され、法文化されている。同裁判で裁判所は、企業が労働者を個人請負労働者として使用するには、労働者がA)業務中、雇用者の指揮命令から自由であること、B)事業の通常の業務の範囲外の仕事を行うこと、C)雇用者の事業と同じ分野で、独立的に設立された貿易、職業、ビジネスに従事していること、という判断を示した。これら3つの条件を満たさない場合、労働者は従業員として分類しなければならない。
AB5が成立した場合、ウーバーやリフトなど、ワークフォースを個人請負業者に頼るギグエコノミー企業は、ドライバーを従業員に分類しなくてはならなくなるなど、大きな変更を迫られることとなる。このほか、ビルの清掃員や港湾で荷下ろしをするトラック運転手、建設労働者、ネイリスト、ナイトクラブのストリッパー、ソフトウェアプログラマーなど、幅広い職業に影響を与えるとみられている。
AB5については、すでに多くの業界団体が適用免除を求めており、医師や歯科医、弁護士、建築士、保険エージェント、会計士、不動産エージェントなど、多くの職業は対象から除外されているという。
今年5月に上場したウーバーは、目論見書の中で、ドライバーが従業員に分類されると事業に悪影響を与えるとリスクを明言している。AB5が成立すると、ウーバーやリフトは、カリフォルニア州の賃金規定に従わなければならない。ドライバーに最低賃金のほか、有給休暇、超過時間手当、労災保険など多大なコストを伴う保護を提供しなければならないほか、労働者が団結する権利を保障しなくてはならない。
法案の適用を避けたいウーバーやリフトは、労働者の保護に理解を示しつつも、ドライバーのフレキシブルな働き方を奪うべきではないと反論。最低時給21ドルや有給休暇の提供、企業に対して団結して発言する権利といった新たな方針を打ち出し、法案の修正を求める署名運動を行なっている。また、法が可決した場合、ウーバーとリフト、ドアダッシュは合計9,000万ドルを拠出して、州民投票にはかる意向を示している。