米大手百貨店ノードストローム(Nordstrom)は5日、サービスをメインとした新コンセプト店「ノードストローム・ローカル」(Nordstrom Local)をマンハッタンのアッパーイーストサイド(住所:1273 3rd Avenue)にオープンした。
商品を売らない店
新店舗の周辺は、ブランド店やサロン、画廊に混じって昔ながらの商店が並ぶ高級住宅地。2年前に開通したセカンドアベニューサブウェイの72ストリート駅からほど近く、数ブロック西側にはセントラルパークがある。
店舗入り口にはバリアフリーのスロープが設置されており、シンプルな外観はスポーツジムやフレッシュジュース店のような印象を受ける。
1階建ての店舗面積は、170平方メートルで地元の商店並の広さ。店内に入るとまず、左側面に設置されたピックアップ用の大きな棚が目に入る。棚には顧客がオンラインでオーダーしたパッケージがすでに多く並んでいる。店内に商品は陳列されていない。
中央には大きなフィッティングスペースが設けられており、ピックアップに訪れた客はその場で試着し、サイズが合わなかったり、気に入らなかったりする場合は、交換や返品できる。「スーパー・コンビニエントなお店ですよ。」と語る店員によると、ノードストローム以外の店で購入した返送品もドロップできるという。
素早く返品ができるのは、顧客にとって便利なだけではない。ジェイミー・ノードストローム(Jamie Nordstrom)代表取締役は、ブルームバーグの取材に「リターンは顧客と小売双方にとって痛い点」と述べ、「日が過ぎることは、潜在的な売上を失うことで、別の顧客がそれを手にできないということだ。」と機会損失の問題に触れつつ、新店舗の取り組みが、返品処理の迅速化につながることに期待を示している。
店舗の最奥には、ラグジュアリーなスタイリングスペースが設けられており、事前にアポイントとって無料で専門のスタイリング・コンサルタントによる相談を受けることができる。
地元のサービスハブに
スタイリングサービスに加え、お直しコーナーやギフトラッピングコーナーが設けられている。カウンターでは、ハンドバッグや靴のリペアも受け付ける。
毎週木曜日には、ママ向けに、専門業社が訪問し、ストローラーのクリーニングサービスも提供するという。さらに、入り口付近には、チャリティーコーナーがあり、不要な中古品を寄付することもできる。
顧客とのエンゲージメントを高める
ローカルは、店舗離れの進む顧客に対し、訪問の機会を提供しつつ、深い関係を構築しようとする取り組みの一貫となる。
開業にあたり、ジェイミー・ノードストローム代表取締役は、「顧客が、好みのブランドやスタイルによりアクセスしやすくする機会を提供し、試着したり自宅に持ち帰ったりすることを、より早く利便性も向上する。顧客の職場や住居からより近い場所に、拠点を置くことで、より買い物が便利なればと思う。」と述べた。
ノードストローム・ローカルは2017年に、カリフォルニア州のメルローズ(Melrose)、ブレントウッド(Brentwood)、ダウンタウン・ロサンゼルス(Downtown Los Angeles)を開業している。
カスタマー・エクスペリエンス部門のシア・ジェンセン(Shea Jensen)上級副社長は「ノードストローム・ローカルを訪れた顧客は、平均よりも2.5倍以上のお金を費やす。また、ロサンゼルス地区におけるオンラインオーダー・ピックアップの30%を占める。」と述べている。
ニューヨークに本格進出
ノードストロームは、昨年4月ニューヨーク初となるメンズの旗艦店をオープンした。
今月27日にはウエスト・ヴィレッジ(住所:13 7th Avenue)にも「ローカル」をもう1店舗開業する予定で、10月24日には、ミッドタウンにウィメンズのノードストローム旗艦店をオープンする。
一方で、近年勢いのあるオフプライス型ストア「ノードストローム・ラック」(Nordstrorm rack)の展開も強化しており、ヘラルドスクエア店に続き、今年スタテン島店を開店。幅広い顧客層の取り込みに注力している。