10月4日から全米公開の新作映画『ジョーカー』に関して、ニューヨークを含む全米の多くの劇場が、ジョーカー姿に仮装した観客の入場を禁止することを決定した。ニューヨークポストが報じた。
『ジョーカー』は、道化師を演じる孤独な主人公、アーサー・フレックが、ゴッサムシティの悪役”ジョーカー”へと変貌する姿が描かれる。ホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)が主役を演じている。
同作については、上映前から「インセル」らによる過激な内容がネット上に投稿されていたという。これを問題視した米軍は、上映中に銃撃事件が発生する可能性があるとしてメンバーに警戒を促していたことが話題となっていた。
Gizmodoによると米陸軍は9月、「公務使用に限る(For official use only)」と書かれたメールで、映画鑑賞に行く場合は「2箇所の非常用出口を確認し」、銃撃が起こった際は「走る、隠れる、戦う」こと。さらに「もし逃げ場がない場合は、隠れて、静かにすること。もし銃撃犯があなたを発見したら、できる限り何としても戦うこと」とメンバーに忠告していた。
映画館の対応は?
マンハッタンでは、来週木曜日からコミコンが開催されるため、アメコミのキャラクターに扮した人々が多数鑑賞に訪れるとみられる。
大手劇場チェーンAMCとランドマーク・シアターはジョーカーの衣装やマスクを着用した人は、入場を拒否するとNYポストに回答した。
リーガルは、ニューヨーク市内の劇場では、マスクやフェイスペイントを施した客を禁止するとしている。
同劇場はThe Wrapに対し、「安全が同社の最優先事項」としつつ、「映画が暴力の原因やシグナルになるとは思っていない」と述べた。
ニューヨーク市警察(NYPD)の広報は「特定かつ確かな脅威はない」と述べ、特別の措置は講じていないとしつつ、引き続き厳重に監視するとNYポストに語っている。
銃乱射事件の遺族が懸念を表明
2012年に起きたコロラド州映画館銃乱射事件の遺族らは、孤独で精神を病んだ人物を主人公に据えた作品が、暴力事件を誘発するのではないかと懸念を表明している。
銃乱射は『バットマン』の最新作上映中に起こり、12人が死亡、70人が負傷した。
5人の遺族らが、配給元のワーナー・ブラザース(Warner Bros)に対し書簡を送り、銃規制を求めるロビー活動や、被害者への寄付など社会の安全に対する責任を求めている。
これに対しワーナーは25日、銃暴力は社会における深刻な問題と述べ、遺族に弔意を伝えるとともに、「蔓延する銃暴力に対処するため、超党派の議員に立法化を求める」と発表。さらに「間違いなく、フィクションの登場人物であるジョーカーだけでなく、この映画も実世界のいかなる暴力を支持するものではない。制作者もスタジオもこのキャラクターをヒーローとして持ち上げてはいない」と述べた。
オーロラの複数の劇場では『ジョーカー』の上映を見送った。