マンハッタンの映画館で4日、『ジョーカー』上映中に大きな拍手を行った若い男性が、警備員に連れ出される出来事が起こった。AP通信が報じた。
タイムズスクエアの劇場「AMCエンパイア25」にいた観客のひとり、ナサニエル・フッド(Nathanael Hood)さんによると、男性は映画の中盤、ジョーカーが殺人を始めると、大きな拍手をし始めたという。周囲の人々は止めるよう忠告したが、男性は「狂ったように拍手喝采」を続けた。この様子を見た観客の何人かは、出口に向かったという。
さらに銃撃のシーンで、男性は再び大きな拍手を行った。止めろと注意した観客に対し、男は好戦的な態度を示したという。
その後、男性は警備員によって劇場の外に連れ出された。映画館の外には、多くの警察官が警備にあたっており、上映終了後も職務質問が続いていたという。
公開前から物議も記録的スタート
『ジョーカー』は4日、北米4374館で公開され、前日の木曜午後から始まったプレビューの興行収入は、1,330万ドル(約14億円)を記録。10月公開作品としては、過去最高のプレビュー成績となった。
同作品はフォアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)演じる孤独なパフォーマーのアーサーが、悪のジョーカーへと変遷する様子を描く。監督はトッド・フィリップス(Todd Phillips)。第76回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。
R指定の同作品は、銃暴力を誘発する可能性があるとして、米国では公開前から大きな議論を呼んでいた。2012年にコロラド州オーロラで、『バッドマン』最新作の上映中に銃乱射事件が起き、12人が死亡した。事件の遺族らは映画公開前、配給元のワーナーブラザースに銃規制への支持や遺族への支援などを求める書簡を送っている。
また米陸軍が、上映中に銃撃事件が発生する可能性があるとしてメンバーに警戒を促していたことが話題となったことから、一部の劇場前には警察官が配置されるなど、警備体制が敷かれている。