夏に経営危機が伝えられていた米高級食料品店、ディーン・アンド・デルーカ(Dean & DeLuca)は、マンハッタンのソーホー店を「一時的に閉鎖」した。同店はマンハッタンでは唯一の店舗だ。
扉に貼られた通知には、「誠に残念ながら店舗を一時閉店します。すぐに再開する予定です。」と記載。近隣住民や顧客に「30年以上にわたるご愛顧」に対する感謝を述べた。
張り紙の上には、何者かによって「SO SAD!」と一時閉店を惜しむコメントが残されていた。
店内に商品は残されていないようだ。外からは、陳列棚やバスケットしか確認することができない
店舗の貸主、ブライアン・シュタインワーツェル(Brian Steinwurtzel)氏は、地元メディアのGothamnistに対し「企業の意図については分からない」と述べ、再開を望んでいると語った。売り場面積930平方メートルのソーホー店は1988年にオープンし、賃貸契約はあと4年以上残っているという。
タイの富豪が2014年に買収
ディーン&デルーカは、ジョージオ・デルーカ(Giorgio DeLuca)氏と故ジョエル・ディーン(Joel Dean)氏が1977年にソーホーのプリンス・ストリートで創業した。
2014年、タイの富豪で起業家のソラポ・テシャクライシー(Sorapoj Techakraisri)最高経営責任者(CEO)が経営する不動産会社ペース・デベロップメント(Pace Development)社が1億4,000万ドルで買収している。
ニューヨークタイムズは今年7月、ディーン&デルーカの納入業社に対する支払い遅延や、スポンサー契約の破棄、家賃滞納などが生じており、事業縮小を計画していることや、ペース社の経営悪化を報じた。その後、4月にミートパッキング地区にオープンしたコンセプトカフェ「ステージ」(Stage)を閉鎖している。
カフェのテナントをリースしていた不動産会社ミッドタウン・エクイティーズ(Midtown Equities)は8月末、ディーン&デルーカとペース社に対し、テナント料の滞納分や契約の途中解除に伴う費用、計2,900万ドル(約30億円)の支払いを求め、ニューヨークの地方裁判所に提訴した。
9月下旬にはニューヨークタイムズビル1階の店舗を突然閉鎖している。