米小売最大手のウォルマート(Walmart)が、Jet.comで展開するオンラインアパレルブランド、モドクロス(Modcloth)を、投資会社のゴー・グローバル・リテール(Go Global Retail)に売却することがわかった。
ゴー・グローバル社の発表によると、取引成立は今年後半を予定。現在のオペレーションは変えず、人工知能(AI)や予測分析などデジタル分野に投資をするとしている。同社マネージングディレクターのクリスチャン・フォイヤー(Christian Feuer)氏は声明で「経験豊富な小売とブランドの専門家であるわれわれのチームが、デジタル戦略やサプライチェーン、オペレーションの分野で既存のマネジメントを補完する。」と語った。
2002年創業のモドクロスは、アメリカンビンテージ風のデザインや、手頃な価格設定、XXSから4Xまでの幅広いサイズ展開などで知られる。ミレニアル世代の女性を中心に人気が高いブランド。
2017年3月、ウォルマートが、子会社のジェット(Jet.com)を通じモドクロスを買収した。買収金額は5,000万ドル(約55億円)から7,500万ドル(約約83億円)とも言われる。リアル店舗の開設も進め、オースティンと、サンフランシスコ、ワシントンDCに次ぐ4店舗となる体験型店舗「フィットショップ」を、今年2月にマンハッタンのソーホーにオープンした。
一方、ウォルマートの広報担当者は、The Vergeに対し「モドクロスを買収した時点では、われわれの焦点は、デジタルネイティブのブランドを通じて品揃えを構築することにあった。」と述べつつ、「われわれのアプローチは進化し、現在の焦点は、オムニチャネルを活用することができるダイレクト・トゥ・コンシューマーブランドを構築することにある。グロサリーと同様、オムニチャネルの能力と独自の優位性を発揮する分野に投資をしている。」と戦略を変更について語った。
ウォルマートは先週、同社のインキュベーション事業から派生した、会員制のショッピングサービス「JetBlack」について、スピンオフの可能性を含めて外部の投資家を探していることが報じられていた。ウォールストリートジャーナルによると、2018年5月にニューヨーク市の一部の地域を対象にスタートした同サービスの会員数は、現在600人。会員一人当たり年間で1万5,000ドルの損失が発生しているという。