フェイスブックは、マンハッタン西側の大規模再開発を手がけるハドソンヤード(Hudson Yards)と、オフィスビルの賃貸借契約を締結した。
賃借するスペースは3棟のビルにまたがる30フロアで、延べ床面積は約14万平方メートルにのぼる。
ハドソンヤードの発表によると、2022年の竣工を予定するビル「50ハドソンヤード」で床面積約11万平方メートル)を賃借するほか、すでに完成している「55ハドソンヤード」と「30ハドソンヤード」でそれぞれ、約5,000平方メートル、2万5,000平方メートルのスペースを借りる。50と55ハドソンヤードは、富豪ステファン・ロス(Stephen Ross)氏のリレイティッド・カンパニーズと三井不動産アメリカ、オックスフォード・プロパティーズ・グループが開発を手がけている。
フェイスブックの本社はカリフォルニア州のメンロパークにあり、マンハッタンではアスター・プレイス近くにメインオフィスを構えている。CNBCによると、ハドソンヤードに移動する従業員規模や組織については決定していないという。
同社は声明で「次の成長段階を検討した際、最新のオフィススペースが、芸術や文化、メディア、商業にアクセスを提供する活力あるコミュニティの中心に位置することが重要だった」と述べ、2020年から入居を開始すると発表した。
なお、CNNやHBOなどを傘下に持つワーナーメディア(WarnerMedia)が「30ハドソンヤード」にオフィスを構える。
ここ数年、シリコンバレーのIT企業が、ニューヨーク市でのオフィス拡大をはかる動きが増加している。グーグルは昨年、ウェストヴィレッジの南側、ハドソン・スクエアに新キャンパスを10億ドルを投じて開設すると発表。今後10年間で、ニューヨークの従業員を1万4,000人以上に増加する計画を公表した。
またストリーミング配信大手ネットフリックスは今年4月、ニューヨークで事業を拡大し、オフィスおよびスタジオを設立する計画を明らかにした。同社は、今後5年間で、マンハッタンのフラットアイアン(888 Broadway)で、マーケティングや製作開発、広報、法務など高収入の人材、127名を雇用するほか、ブルックリンのイースト・ウィリアムズバーグ(333 Johnson Avenue)に、6つのスタジオの開設を予定。数千人の製作スタッフの雇用創出が見込まれている。
一方、アマゾンは昨年、第二本社をクイーンズのロングアイランドに建設する決定をしたが、地元議員の反発により、今年になって計画を撤回。現在マンハッタンでオフィスの賃借を検討している。
今年3月に公式にオープンしたハドソンヤードは、総工費250億ドル(約2兆7800億円)以上を投じたメガプロジェクトで、ニューヨークとしてはロックフェラーセンター以来、民間企業による開発としては米国最大規模。超高層オフィスビルやアパートメント、コンドミニアム、ホテルやショッピング、レストランの複合施設などからなる。また2万平方メートルのパブリックパークの中心には、蜂の巣型の巨大パブリックインスタレーション「ベッセル」(Vessel)が設置されている。