『ドゥ・ザ・ライト・シング』や『ゴッドファーザー PART II』など多数の作品に出演したベテラン俳優ダニー・アイエロ(Danny Aiello)さんが12日夜、死去した。86歳だった。
アイエロさんのマネージャーは、急病によりニュージャージー州の医療施設で亡くなったとFoxニュースなどに発表した。
アイエロさんは1933年6月20日、マンハッタンのイタリア系労働階級の家庭に生まれた。兄弟は7人いたが父親が家族を捨てたため、9歳から新聞配達などの仕事を始めた。10代はストリートギャングの仲間に加わり、強盗などを働いた経験もあるという。
高校中退後、1955年に結婚。その後陸軍に入隊し、3年間兵役を務めた。除隊後は、複数の仕事を経て、1970年にコメディクラブの警備員として雇われた。そこで司会者の代役を務めたのが、俳優を志すきっかけとなった。
1970年代初期にロバート・デニーロ(Robert De Niro)主演の野球ドラマ「Bang the Drum Slowly」の脇役で注目を浴びた。
1997年のインタビューでアイエロさんは「ニューヨークで育ったことで、あらゆる役を演じる訓練ができた。」と振り返った。「演技をする時には、自分がこれまでに見たり、体験したことを単純に再生させ、感情を呼び起こす。」と語っている。
1980年代には年平均3本の映画に出演。1989年のスパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』(Do The Right Thing)でピザ屋のサルを演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。『ゴッドファーザー PART II』ではトニー・ロサト役を演じ、殺害シーンの台詞「Michael Corleone says hello!」が有名となった。
シェール主演のロマンチックコメディ『月の輝く夜に』(Moonstruck)や、ポール・ニューマン主演の『アパッチ砦・ブロンクス』(Fort Apache, The Bronx)、デニーロと再演した『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、エディ・マーフィ主演の『ハーレム・ナイト』、ウディ・アレン監督作品『カイロの紫のバラ』、『ラジオ・デイズ』、『レオン』など数々の映画に出演している。
「The Last Don」などテレビ番組のミニシリーズのほか、オフブロードウェイの「The Shoemaker」、マドンナの「パパ・ドント・プリーチ」のPVでマドンナの父親役として登場するなど幅広い舞台で活躍した。
スパイク・リー監督は、『ドゥ・ザ・ライト・シング』公開30周年記念として開催されたブロックパーティで撮影した記念写真や、追悼のメッセージをSNSに投稿し別れを惜しんだ。
告別式は19日の午後2時半からアッパーウエストサイドのリバーサイド・メモリアル教会(The Riverside Memorial Chapel)で執り行われ、一般人の参列も受け付ける。