米住宅都市開発省の調査によると、2019年の全米のホームレス人口が前年から2.7%増加したことがわかった。
発表によると、2019年に一晩ホームレスを経験した人数は56万7,715人で、前年より14,885人増加した。29州とワシントンD.Cで減少したが、21州で増加した。とりわけカリフォルニア州とオレゴン州をはじめとする西海岸の著しい増加が、全国的な減少を相殺したとしている。
退役軍人のホームレスは2.1%、子供のホームレスは4.8%減少した。
カリフォルニア州では、ホームレスが昨年より2万1,306人増え、16.4%増となった。同州の増加分は他の州の増加分の合計を上回るという。CNNによると、ロサンゼルス郡のみで2019年のホームレスは6万人と言われている。
ベン・カーソン(Ben Carson)長官はカリフォルニアについて、「危機的水準であり、ローカルと州の指導者が危機的状況に対する緊急性でもって取り組む必要がある」と警告。思いやりをもってホームレスの人々を収容する「コミュニティーを横断した幅広い対応」が必要だと訴えた。
なお、ホームレス支援団体「Coalition for the Homeless」の調査では、今年8月時点のニューヨーク市のホームレス人口は、2万1,802人の子供と14,806家族を含む、6万1,674人となり、1930年代の大恐慌以来もっとも高い水準に到達している。
同市では、対策の一つとして、シェルターを利用する個人や家族に対し、市が一年分の家賃を負担し、市内または州内外に移住させる「Special One-Time Assistance Program(SOTA)」を実施している。しかし、今年に入り、対象者が劣悪な物件に移住させられていたなどの問題が発覚。また移住を知らされていない自治体や州から適法性を疑問視する声が上がっている。
ホームレス用の住宅を確保する法案を可決
ニューヨーク市議会は20日、市の助成を受けて建設する40戸以上の住宅開発に関して、15%をホームレス世帯向けの賃貸アパートとして使用する法案を38-3で可決した。法案は来年7月に施行される予定。同法案により、今後1年間に1,000戸のホームレス用賃貸アパートが確保できる予定だという。
ミューヨーク市では、シェルター以外の路上で生活するホームレスが約3,600人いると推定されている。ビル・デブラシオ(Bill de Blasio)ニューヨーク市長は17日、今後5年間で路上生活のホームレスを0に削減する計画を発表している。