21日から本格審理が始まるトランプ大統領の弾劾裁判に関し、トランプ大統領の弁護士チームは18日、上院の召喚状に対する公式な回答書を提出。弾劾を「憲法上無効」と主張するとともに、「国民の大統領を自由に選択する権利に対する危険な攻撃」と非難した。
パット・シポローネ大統領法律顧問とトランプ氏の顧問弁護士ジェイ・セクロー氏は冒頭、弾劾訴追決議を「2016年の選挙結果を覆し、数か月先に迫った2020年選挙に介入するずうずうしくて違法な試み」と述べ、「大統領を弾劾しようという非常に党派的で、見境のない執着は、彼が就任した時から始まり、今日まで続いている」と批判した。
「権力乱用」の弾劾条項について、弾劾にあたる犯罪や違法行為を主張していないと指摘。トランプ氏はいかなる方法においても権力を乱用していないと述べ、昨年7月25日と4月21日のゼレンスキー大統領との電話協議は「合法、完全に適切、国益を助長するもの」と述べた。また7月25日の電話で、ウクライナ支援に関するヨーロッパ諸国の公平な負担とウクライナの汚職といった重要な問題を提起したと主張。権力を乱用し、個人的利益を追求したとする疑惑を否定した。このほか、ウクライナ側が圧力を否定していることや、首脳会談および軍事支援が最終的に実現していることから、大統領は不正行為をしていないと主張した。加えて、弾劾調査を巡る公聴会で、弁護人の出席や証人の反対尋問、証拠の提出といった基本的権利を大統領は拒否されたとし、弾劾は根本的に欠陥で違法だと述べた。
一方、政府関係者に議会証言を拒むよう指示した「議会妨害」について、トランプ大統領は権力の分離に基づく合法的な行政府の守秘義務を主張しているとし、違法行為はないと述べた。さらに、ゼレンスキー大統領との通話記録の公開に触れ、大統領の行動には前例のない透明性があると主張。また、議会の採決によらない召喚には憲法上の根拠がないと述べるなど、手続きの問題を指摘。大統領に直近の補佐官らは公務に関する証言を免除されるのが従来の慣例であると主張。弾劾条項は不当で否決されるべきものだと述べた。
最後には、「政府の憲法構造を保つために、建国の父が警戒した有害な党派政治を拒否し、一党による政治的な弾劾の報復がニューノーマルにならないよう、そしてアメリカ人の意思を守るため」と述べ、「上院は両弾劾条項を否決しなければならない」と訴えた。
同日、下院弾劾マネージャーは111ページに上る準備書面を上院に提出。弾劾マネージャーは「証拠は、大統領が両方の弾劾条項において有罪であることを圧倒的に確立している。」とし、「残る問題は、上院が、建国の父と憲法の宣誓によって課せられた責任を受け入れ、実行するかだ」と述べている。