ブロンクスのニューヨーク植物園(NYBG)では5月9日より、アーティスト草間彌生(1929-)の大規模な展覧会「KUSAMA: Cosmic Nature」を開催する。15日、エキシビションの詳細が発表された。
草間氏は長野県の中蔦屋農園(現:ナカツタヤ)で生まれ、幼少時時代から畑や温室など植物に囲まれた環境で過ごした。展覧会では、当時撮影した写真や、10代半ばで描いた花のドローイングなどを初めて展示。生涯を通じて、植物との関わりをテーマに作品を創造し続ける草間氏を包括的に探求する内容となる。
キュレーションを担当した吉竹美香(Mika Yoshitake)氏は、「草間氏にとって自然は単にインスピレーションの源というだけでなく、有機的成長と生命の増殖を絶えず存在させる、草間氏の芸術の言語の情緒的効果に不可欠なものである。」と声明で述べた。
展覧会は、同植物園の約100ヘクタールの広大な敷地全体を使用して開催される。今回新たに4作品が製作された。
温室の建物内部にサンゴ色の造花を飾る「Flower Obsession」(2020)や、高さ5メートル超のパンプキンの彫刻「Dancing Pumpkin」(2020)、イエローフェイスにポルカドットがついた「Want to Fly to the Universe」(2020)のほか、屋外に設置するインフィニティ・ミラー・ルーム「Infinity Mirrored Room—Illusion Inside the Heart 」(2020)が初めて公開される。
ハウプト温室(The Enid A. Haupt Conservatory)では、「我が永遠の魂」シリーズの「ALONE, BURIED IN A FLOWER GARDEN」(2014)を、庭師が植物を使い再現する。春にはチューリップやアヤメ、秋にはパンプキンや菊など四季折々の花や植物を使用したディスプレイとなる。
ルーエスター T. メルツ図書館(The LuEsther T. Mertz Library Building)では、植物のスケッチや絵画、ペーパー作品、有機的な形態のコラージュ作品、アサンブラージュ、ソフトな彫刻、キャンバス作品などを展示。
鑑賞者にイマーシブ体験を与える「Life」 (2015)や、ポルカドットのパンプキンを映したミラーキューブ「Pumpkins Screaming About Love Beyond Infinity」(2017)、草間氏のニューヨーク在住時(1958-1973)の前衛的なアイデアをほうふつとさせる初期の作品を見ることができる。
上映会やプログラムを実施
吉竹美香氏と美術史家のジェニ・ソーキン(Jenni Sorkin)氏によるレクチャーが5月9日と28日に開催されるほか、2018年公開のドキュメンタリー映画『草間彌生∞INFINITY』(Kusama Infinity)および1968年公開の「自己消滅」(Kusama’s Self-Obliteration)の上映会を開催する。(日時未定)
また、パフォーマンス団体「Improv Everywhere」とパートナーシップを組んだ「ポルカ・ドット・ピクニック」(5/30、6/13)や、「パンプキン・パワー・ウィークエンド」(10/3、10/4、10/31、11/1)などの週末限定のアクテビティ・プログラムも開催する。
夏には、ゲスト・キュレーターの吉竹美香氏とジェニ・ソーキン氏、キュレーターのアレクサンドラ・モンロー(Alexandra Munroe)氏らによる展示会カタログ「KUSAMA: Cosmic Nature」をRizzoliから出版する。
前売りチケットの一般発売は2月26日より。NYBGは、ブロンクス区の低所得住民向けにチケット10万枚を無料配布すると発表した。
「Kusama: Cosmic Nature」
期間:2020年5月9日~11月1日
場所:ニューヨーク植物園(New York Botanical Garden)
住所:2900 Southern Boulevard, the Bronx, New York
チケットは会員2月19日より、一般2月26日より販売開始
大人35ドル、シニア(65歳以上)・学生33ドル、子供(2–12歳)15ドル
*インフィニティミラールームは別料金(10ドル)
www.nybg.org