連邦最高裁判所は28日、低所得の移民の永住権取得を困難にするトランプ政権の規則について、審理が続く間、下級審による差し止め命令の解除を認める判決を下した。
トランプ政権は昨年8月、従来のパブリックチャージ(公共の負担)規則を見直し、フードスタンプやメディケイド、ハウジングバウチャーなどの公的扶助を受給、または受給見込みのある移民は永住権を取得できない可能性があると発表した。規則は10月15日から適用を予定していたが、実施を前に、州や移民権利団体が停止を求めて、各地で提訴。複数の裁判所で差し止め命令が出ていた。
判決は5-4で保守派とリベラル派に別れ、ニューヨークの第二巡回区連邦控訴裁判所で審理が続く間、新規則が実行されることとなった。第九および第四巡回区連邦控訴裁判所ではすでに解除が認めらていたが、第二巡回区連邦控訴裁判所は今月8日、審理中も下級裁判所の差止命令を維持する判決を下しており、政府が不服を申し立てていた。
判決について、ホワイトハウスは「アメリカ人納税者とアメリカ人労働者、合衆国憲法の大きな勝利だ」と賞賛。「決定によって、新参者は国家と市民の公共の負担になるのではなく、経済的に自立していていなくてはならないという連邦法を実施することが可能となる。」と述べた。加えて「二つの控訴裁判所が、政府はこの規制の実施が可能であると裁定していたが、一地域の判事による全国的差止が有効となっていた。」と語った。
現在、申請者がパブリックチャージに該当するかどうかは、政府の現金給付に頼る可能性が基準となっている。新規則ではこれを補充的栄養支援プログラム(SNAP)による食料補助、住宅補助、メディケイドなどのプログラムに拡大。これらプログラムを3年間で12ヶ月以上利用、または利用する見込みがある場合、永住権の発行を拒否される可能性がある。
判決を受け、ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は「われわれはグリーンカードと食事がはかりにかけられ、移民が人間以下に扱われる間、じっとしていることはできない。」と声明を発表。「われわれはまだ法廷におり、移民が家族を食べさせる権利のために戦いをやめることはない」と係争中であることを強調する一方、不安や疑問がある移民に対して法的支援を提供するホットラインにコンタクトするよう呼びかけた。