2日フロリダ州マイアミで開催された第54回スーパーボウルは、31対20でカンザスシティ・チーフスがサンフランシスコ・49ersを下し、50年ぶり2度目の優勝を果たした。
試合を中継したFoxは、今年の観客数は1億200万人に達し、歴代10位を記録したと発表した。
試合に加え、国歌斉唱やハーフタイムショーでみられた、セレブたちの行動が話題となっている。
ジェイZとビヨンセは国歌斉唱で着席
試合前の国歌斉唱には、薬物への依存症を克服したデミ・ロヴァート(Demi Lovato)がステージに立った。
国歌斉唱の際は、胸に手を当て起立するのが米国のスポーツの習わしだが、ジェイ・Z(Jay-Z)とビヨンセ(Beyoncé)、娘のブルー・アイビー(Blue Ivy)は着席したままだったとTMZが報じた。
これに対し、敬意がないと批判する声や、何らかの抗議のメッセージだと推測する声が上がった。
ジェイ・Zが代表を務めるロック・ネイション(Roc Nation)は昨年NFLと提携し、スーパーボウルのショーのコンサルティングや、同リーグの社会正義キャンペーン「インスパイア・チェンジ」(Inspire Change)などに協力している。
NFLとの提携に関してジェイ・Zは、白人のフットボールファンが、警官の黒人の扱いについて関心を持つための一助になればと、ニューヨークタイムズのインタビューで語っている。
国歌斉唱で座っていた理由に関してTMZは4日、ジェイ・Zは単に仕事をしていただけだと報じた。デミ・ロヴァートのショーのプロデュースにも関わっていたジェイ・Zは、「われわれはすぐにアーティストモードになり、ショーに魅入っていた。」と語り、抗議ではないと明かした。
ジェニファー・ロペスは不寛容政策に抗議
プエルトリコ出身の両親の元、ニューヨークのブロンクスで生まれたジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)は、コロンビア出身のシャキーラ(Shakira)と共にハーフタイムショーのステージに立ち、ラテンパワーを炸裂させた。
2人は試合前の記者会見で、米国におけるラテン系コミュニティーの重要性や、団結のメッセージを伝えたいと語っていた。
ジェニファー・ロペスのパフォーマンスの中では、白い衣装を身にまとった子供たちが、光の檻に入っているシーンが写し出された。
トランプ政権による、不法入国した親子を引き離す「ゼロトレランス(不寛容)政策」への抗議だと見られている。
娘のエメ・マリベル・ムニス(Emme Maribel Muñiz)さん(11)もステージに登場し、1999年の母のヒット曲「Let’s Get Loud」を披露した。
ブルース・スプリングスティーンの「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」を歌う場面では、米国とプエルトリコの国旗のリバーシブルのジャケットで登場。
2017年にハリケーンイルマ(Irma)とマリア(Maria)で壊滅的な被害を受け、今年に入って大地震が相次いでいるプエルトリコへの支援を表明した。
ハリケーン発生後、ジェニファー・ロペスは1億円以上(100万ドル)の寄付を表明している。
ジェニファー・ロペスはスーパーボウルの翌日、ステージに立つ前の娘との写真と動画を投稿した。キャプションでは「私たちは皆一丸となり、この美しい国を真に素晴らしいものにできる。それを誇らしく思う。」とつづっている。
NFLは警官の銃撃事件のCM
NFLは、「インスパイア・チェンジ」イニシアチブの一貫として、警官による黒人射殺の悲劇を描いた2つの公共広告を放送した。
インスパイア・チェンジは、NFLのオーナーや選手らの主導により、教育や経済の向上、警察とコミュニティの関係性の構築、刑事司法制度改革などを通じて、ポジティブな変革をもたらそうとするリーグの取り組み。
一つは、昨年テキサス州ダラスで起きた警察官による黒人の誤射事件。アンバー・ガイガー(Amber Guyger)元警察官が自分のアパートとは異なる部屋に入り、部屋にいたボッサム・ジーン(Botham Jean)を誤って射殺した。
もう一つは、道路でレッカー車を待つ間、警官に射殺された元NFLのアンワン・ボールディン(Anquan Boldin)さんのいとこ、コーリー・ジョーンズ(Corey Jones)さんの事件。
ツイッターのコメント覧には、国歌斉唱で膝をつき、警官による黒人への暴力に抗議した49ersの元QBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)氏が、NFLの選手として復帰していない現状を批判する声も寄せられている。