1923年創業の老舗百貨店バーニーズ・ニューヨーク(Barneys New York)のマンハッタンの旗艦店が22日閉店し、97年の歴史に幕を閉じた。
バーニーズは昨年、オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、ABG)と金融会社のB・ラリー(B. Riley)に2億7,140万ドルで売却され、閉店セールが実施されていた。
最終日には商品はほとんどなく、毛皮やカーペットなどの商品のほか、マネキンやラック、ハンガーなどの備品が販売されていた。
マディソン店の9階にあるフレッズ・レストラン(Freds restaurant)は営業を継続する。
NBCニューヨークによると、マンハッタンの旗艦店とウッドベリーコモンのアウトレットに務める従業員700人以上が解雇される予定だという。ニューヨークポストは、販売員は、閉店数日前に解雇を言い渡されたと報じた。2年以上努めた従業員には、5週間の解雇手当が支払われるが、組合に加入していない従業員は、退職手当を受け取ることができないことが分かり、ショックを受けた人もいるという。
同紙によると、元バーニーズニューヨークのダニエラ・ヴィターレ(Daniella Vitale)前最高経営責任者(CEO)は、昨年12月に宝飾ブランド、ティファニーの最高ブランド責任者(CBO)執行副社長に就任した。
1923年チェルシーに創業
バーニーズ・ニューヨークは1923年、チェルシーにバーニー・プレスマン(Barney Pressman)氏がメンズウェアのディスカウントストア店として創業した。1960年代に息子のフレッド(Fred)氏が、ジョルジオ・アルマーニ(Georgio Armani)のフルラインを販売し、高級メンズウェア店へと転換。ベルサーチやコム・デ・ギャルソンなどのブランドをいち早く米国に紹介した。1996年にも、連邦破産法11条の適用を申請している。
2016年には、創業の地チェルシーにダウンタウン店を開業した。
1993年に開業したマディソンアベニュー店に関して、2019年の賃貸契約更新時に、テナント料が約2倍の3,000万ドル(約33億円)に引き上げられたため、経営を圧迫していることが報じられた。
昨年8月、連邦破産法第11条の適用を申請。10月に、当て馬(ストーキング・ホース)として、ABGに2億7,140万ドルで全資産を売却することで合意した。
ABGは、ナインウエストやノーティカ、エアロポステールなどを傘下に持ち、破産法の適用申請したフォーエバー21の買収にも名乗りを上げている。
ABGとの買収成立を前に、「キース」(Kith)の共同創始者で、トレードショーを運営する企業を所有するサム・ベン・アブラハム(Sam Ben-Avraham)氏や従業員らが#SaveBarneysのキャンペーンを発足。店舗の継続を含む救済策を講じる意思を示したが、最終的に入札には至らなかった。
昨年11月ABGは、バーニーズの知的財産の買収を完了したと発表。ニューヨーク州ホキプシーの破産裁判所が買収承認の最終決定を下した。ニューヨークタイムズは、「バーニーズにとってのD-デイ」と、ノルマンディー上陸作戦の開始日になぞらえ、「高級ファッション小売業界の転機」と報じた。
ABGは今後、サックス・フィフィス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)と協力し、ショップ・イン・ショップやECを開設する計画を明らかにしている。
日本で展開する12店舗については、セブン&アイ・ホールディングスのライセンス契約を維持し、営業を継続すると発表している。
ニューヨークでは昨年初頭、米国最古の百貨店ロード・アンド・テイラーの旗艦店やヘンリベンデルが姿を消している。