9日、マンハッタンの5番街にあるトランプタワー前の路面に、黄色の文字で「Black Lives Matter」のスローガンが描かれた。
BLMの路上アートは、ミネアポリスの黒人男性ジョージ・フロイドさんの死亡事件後、警察の暴行に対する抗議や警察改革を求め、ワシントンD.C.のホワイトハウス付近やシアトル、ハリウッド、ニューヨークなど全米で描かれている。
当日はデブラシオ市長とファーストレディのシャーリーン・マクレイ氏、黒人人権活動家のアル・シャープトン師もペイントに参加した。
地元中学校からペイントに参加した少年は「友が亡くなって以来、とてつもなく大きな変化が起こるのを目の当たりにしてきた。(ムーブメントは)黒人の団結を象徴するものだけでなく、すべての人にインスピレーションを与えるものだったと思う。我々は一体となることができた。私が今日ここにいる理由について、若い自分から感謝したい。」と語った。市長らの参加に対し「我々はよりパワーのある人を必要としており、ペイントに加わってくれたことを嬉しく思う。」と述べた。「もっと多くの人とコラボレーションできるよう努めている。そうすることで、より良い場所にし、暴力を減らすことができるだろう。」と希望を語った。
トランプ氏は反対を表明
BLMの文字は、ブルックリンのベッドスタイを始め、市庁舎のあるフォーリー・スクエアやハーレムなどに描かれた。
市長室は先月末、トランプ・タワー前に文字をペイントする計画を発表。これに対しトランプ大統領は、BLMのプロテスターが「警察官を殺せ」と主張していると述べ、「ヘイトの象徴」だと主張。「ラグジュアリーな5番街を汚す」ものだとして異議を唱えた。さらにニューヨーク市警察の予算を削減するのではなく、犯罪対策に充てるよう求めた。
なおトランプ氏は昨年、主な居住区をニューヨーク市からフロリダ州のパームビーチへと移転している。
これに対し、デブラシオ市長は「黒人の人々が5番街を作った。国の多くの道路がそうだ。あなたの”ラグジュアリー”というのは、彼らの労働から生まれた。それが正当に補償されたことはない。我々は彼らを尊敬している。あなたが、ストリートを汚しているとみなす事実こそが、人種差別の定義だ。」と反論した。
6月に入り市内で発砲事件が急増したことから、市長に対策を求める声が高まっている。6月の銃撃事件の死亡者は、全員有色人種だった。独立記念日の週末には、64人が銃撃を受け、11人が死亡。ブロンクスでは、6歳の娘と手をつないで歩いていた父親が路上で射殺される事件も起きている。
SNSでは、市民は路上アートではなく安全な生活を求めており、トランプ大統領に楯つくのをやめ、対策を講じるよう求める意見も寄せられている。
なお米連邦最高裁判事は同日、トランプ氏が大統領であることを理由に開示を拒否していた財務記録に関して、ニューヨーク州検察当局の要求に応じ開示するよう命じた。判決は7対2で、トランプ大統領が指名した保守派のカバノー、ゴーサッチ両判事が支持に回った。