アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(民主党 ニューヨーク)は9日、オンラインで開催したタウンホールで、ニューヨーク市の犯罪増加は、新型コロナウイルスで増加した失業や家計の困窮と関係があると語った。
The HillがSNSに投稿した動画によると、コルテス議員は市の犯罪件数の増加について、「記録的な失業」や「経済的な絶望」と関係があると示唆。続けて「人々が家賃を払えず、払うのを恐れていることと関係している」と述べ、「彼らは外に出て、子供を食べさせなければならないが、お金がない。パンを盗むか、空腹で夜を過ごすか選ばなければならないと感じるような立場に置かれている」と語った。
一方「現在の犯罪増加は、ニューヨーク市警察の60億ドルの予算とともにあることを肝に銘じてほしい」と、予算増額は犯罪数低下に役に立たないと主張した。さらに、ほとんどの犯罪者は、保釈制度の変更のおかげで保釈されたのではないと指摘。ニューヨーク州の保釈制度改革が犯罪増加の要因だとするニューヨーク市警察の主張を否定した。
ジョージ・フロイドさんの死亡事件後、警察暴力や体系的人種差別の根絶を求める声とともに、警察の財源削減を求める「Defund the Police」運動が全国に広がった。ニューヨーク市庁舎前では、7月1日の新予算執行の数日前から現在まで、抗議者が泊まり込みの抗議活動「Occupy City Hall」を行い、財源の削減と警察改革を求めている。ニューヨーク市議会は30日、60億ドルの警察部門の予算から10億ドルを削減することで合意した。
警察の予算削減を支持するコルテス議員は、10億ドルの削減に関し「真の10億ドル削減ではない」「まだ実行に移されていない」と述べるなど、市の動きは不十分との見方を示した。
今年前半のニューヨーク市内の発砲事件は528件で、前年同時期から46%増加した。独立記念日の週末は68人が撃たれ、10人が死亡した。また市内で5月28日からはじまったフロイド氏の死をきっかけとする抗議デモは、一時過激化し、警察車両の破壊や放火に発展した。ソーホーをはじめ、市内の多くの小売店が略奪の被害にあった。テレンス・モナハン警視総監によると、6月の家族経営など小規模店を狙った強盗件数は1,783件で、前年の817件から118%増加。車の盗難も前年の462台から696台へと50%増加した。
コルテス議員の発言に、保守派から反発の声が上がった。
マイク・ハッカビー元アーカンソー州知事(共和党)はフォックスニュースのインタビューで、「空腹だから、外でパンを盗んでいると彼女は言うが、違う。彼らは外に出て人をランダムに殺害しているのだ」と述べ、「パンが必要だからといって、1歳児を殺したりはしない。」と語った。
ブルックリンのベッドスタイでは12日夜、1歳の男児が銃で撃たれて死亡する事件が発生した。
ハッカビー氏はまた「これについて責任を取るべきだ」と主張。「暴力犯罪がパンの万引と関係がないことを認めるべきだ」と述べた。また「彼女が本当に関心があるなら、なぜアマゾンが来ようとしたとき、彼女の地域の人々を救うであろう数千人の雇用を奪ったのか」と語った。
マクナニー大統領報道官は13日の会見で、コルテス議員の発言を「ばかげている」と批判した。「国民の63%が、警察批判が、路上の公衆安全を損なうことになるのではないかと恐れている。黒人のアメリカ人では69%だ。警察を悪だと呼び、警察の廃止を話しているが、これは現実的な問題だ。この週末、ニューヨークではストローラーの中にいた1歳児が殺されたではないか」と語った。