ニューヨーク州のクオモ知事は31日、嗜好用マリファナ(大麻)の合法化法案に署名した。法案は昨夜、州議会両院を通過(上院40-23、下院100-49)した。
成人向け嗜好用マリファナの合法化は、ニューヨーク州は全米で15州目。隣のニュージャージー州では先月、合法化が成立した。
クオモ氏は声明で「今日はニューヨークにとって歴史的な日だ。厳しい実刑判決に終止符を打ち、過去の過ちを正す。そして、エンパイアステートの経済を育成する産業を採用し、過去に苦しめられてきたコミュニティが、最初に恩恵を受けることができるよう優先する」と語った。
上院トップのアンドレア・スチワート・カズンズ州議員(民主党)は「麻薬戦争で引き起こされた人種格差に対応するための重要な第一歩だ」と述べ、法律は「社会的平等を実現しながら、教育を強化し、公共の安全を保護するものだ」と語った。
法律では、21歳以上の成人は、自宅外で3オンス(約85グラム)まで、合法的に所持できる。自家栽培可能な苗木の上限は、大人1人当たり6株で、1家庭あたり12株となる。
また、法改正で合法となる過去のマリファナに関する犯罪歴は、自動的に抹消される。
マリファナ合法化による税収は年間3億5000万ドル(約388億円)を予想し、3万から6万人の雇用創出を見込む。
ABCニュースによると、マリファナの販売が開始されるのは、2022年頃になると予想されている。
取り締まりに人種間の偏り
マリファナの規制に関しては、取り締まりに人種間で偏りがあるとして、長らく問題視されていた。
2018年に州保健局が実施した調査では、公衆衛生と社会正義の観点から、合法化によって「マリファナ市場を規制管理することによる効果は、潜在的なマイナスの影響を上回る」と結論付けた。
発表によると、マリファナの使用率は人種間で同程度だが、全米のマリファナ所持の逮捕者に占める黒人の割合は、白人の4倍近くだという。2017年のニューヨークのデータでは、マリファナ所持による逮捕者の86%は有色人種だった。人種別では、黒人が48%、ヒスパニックが38%、白人は9%だった。
法律には以下の内容が含まれる
- 21歳以上の成人は、自宅外で3オンス(85グラム)まで、濃縮製品は24グラムまで合法的に所持することができる。自宅内では21歳以下の子供がアクセスできないよう管理しなければならない。
- 自家栽培可能な苗木の上限は、大人1人当たり6株(成熟体3株、未成熟体3株)、1家庭あたり12株(成熟体6株、未成熟体6株)
- 医療用マリファナの使用が可能な病状のリストを拡大し、患者のための自家栽培を許可する。
- 13%の物品税をかける(9%は州、4%は地方)。地方の4%の税収のうち、郡が25%を受け取り、自治体が75%を受け取る。
- 生産、流通、小売その他の事業体へのライセンスを提供。社会公平プログラムを創設し、過去のマリファナの取り締まりによって不均衡に影響を受けた人々の市場参加を支援する。
- 重量ベースの課税を、最終製品の種類に応じ、THCの含有量に対してかかる構造へと変更することを検討する。
- 州の税収は、教育、地域の再投資助成金、薬物治療と公衆教育のための基金に振り分ける。
- 市町村は、2021年12月31日または法案の施行から9カ月後までに法案を可決することで、販売所または使用所のライセンス発行からオプトアウトできる。成人使用の合法化から除外することはできない。
- マリファナ使用時の運転は引き続き禁止する。麻薬認識の専門家や取り締まり当局に追加資金を提供するほか、州保健局が高等教育機関と協力し、マリファナ運転を検出するための方法と技術の評価に関する調査研究を実施する。
- 法改正で合法となる過去のマリファナに関する犯罪歴を自動的に抹消または再宣告する。