トランプ大統領の娘、イヴァンカ・トランプ氏が手がけるファッションブランド「Ivanka Trump」。2月に入って米百貨店のノードストローム(Nordstrom)がブランドの取り扱いを中止することを発表し、それに対して大統領は「娘のブランドが、同社より不当な扱いを受けている。全くひどい」と、ツイッターで言及するなど、大きな話題となっている。
取り扱い中止の理由について、ノードストロームのスポークスマンは、政治とは関係がなく、昨年後半からの販売状況が芳しくないためとしているが、これに続き、ニーマンマーカス(Neiman Marcus)がブランドのジュエリーラインの取り扱い中止を決定した。
全米に300拠点を持つ百貨店ベルク(Belk)や、ディスカウントストア、TJマックス(T.J. Maxx)なども販売停止を発表するなど、小売各社の追随する動きが見られている。
Ivanka Trumpブランドとは
2007年、イヴァンカ・トランプ氏が25歳でジュエリーライン「Ivanka Trump Fine Jewelry」をスタート。公式サイトによると、ブランドのターゲットは、ワーキングウーマン。誰かにプレゼントしてもらうのではなく、「自分へのご褒美として購入することのできるアイテム」がコンセプトとなっている。その後、バッグやシューズ、洋服のラインを追加し、幅広いラインナップを販売する。
いずれのアイテムも購入しやすい価格設定で、マンハッタンでは、ロード・アンド・テイラー(Lord & Taylor)、メイシーズ(Macy’s)、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)で販売されている。
メイシーズでは、ウィメンズウェアを取り扱う。
ロード・アンド・テイラーでは、1Fにアクセサリー、2Fにシューズ、4Fでウィメンズウェアのフルラインナップを販売。
ブランドのシグニチャーカラーのピンクや、ブラックを基調としたデザインが多い。
大統領の対応は
各社の販売中止に対して、トランプ氏がツイッターで言及した翌日、ホワイトハウスでの定例記者会見にて、ショーン・スパイサー(Sean Spicer)報道官はノードストロームの対応を「政権への不満によるもの」と批判した。
ブランドをめぐる騒動にさらに拍車をかけたのが、大統領上級顧問のケリーアン・コンウェイ(Kellyanne Conway)氏。FOXテレビの 「Fox & Friends」コーナーに登場したコンウェイ氏は、「ここで、フリーコマーシャルをするわね。みなさん、ぜひイヴァンカの商品を買って!オンラインで買えるわよ」と発言。テレビを通じて視聴者に購入を呼びかけたことに対し、倫理規定に反するのではないかとの批判が一気に高まった。
当日開かれたホワイトハウス記者会見では、政権としての見解を問う質問が寄せられたが、スパイサー報道官は「現在、彼女はその件に関して助言を受けている。以上」と述べるにとどまった。
11日にオンエアされた、サタデーナイトライブ(SNL)では、メリッサ・マッカーシー(Melissa McCarthy)扮するスパイサー報道官が、イヴァンカの商品をここぞとばかりPRするシーンが登場し、話題となっている。
今年1月、イヴァンカ・トランプ氏は、ブランドビジネスからは今後一切の手を引く予定と報道されていたが、騒動は広がりを見せている。