オッペンハイマーの「マンハッタン計画」 極秘プロジェクトの資金はどこから?

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今年のアカデミー賞で作品賞や監督賞など13部門のノミネートを獲得したクリストファー・ノーラン監督作『オッペンハイマー』。米政府が極秘に進めた核兵器開発プロジェクト「マンハッタン計画」で、原爆の開発を率いた物理学者ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた作品は、 第二次世界大戦ものとして過去最高の興行収入を記録するなど、高い関心を集めた。一方、20万人以上が殺害された広島と長崎の惨状を描かず、被害を矮小化しているといった非難も上がった。

マンハッタン計画では20億ドルが費やされ、科学者やエンジニア、技術者から建設作業員を含む60万人が関与したとも言われる。

これだけの巨大プロジェクトが、国民はおろか議会にも知られず、内部で働く者にさえ目的を悟られずに進められたという。

プロジェクトは日米開戦の翌年の1942年、フランクリン・ルーズベルト大統領によってスタートした。公園管理局によると、陸軍工兵隊が施設の建設候補地を探し、主要地にワシントン州ハンフォードとニューメキシコ州ロスアラモス、テネシー州オークリッジが選ばれた。政府は1942年戦争権限法に基づいて部族や農家、定住者を立ち退かせ、研究開発施設と秘密の町を建設した。通知から30日以内に立退を求めたケースもあったという。

これらトップシークレットの町に加え、小規模な拠点も数十箇所設けられた。政府は、秘密を保持するために多大な労力を払ったという。

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仕事は細分化され、プロジェクトに雇われた人々は、何に取り組んでいるかを必ずしも知らされなかった。第二次世界大戦の歴史家、アレクサンドラ・レヴィー氏はサイエンティフィック・アメリカンのインタビューに「人々のほとんどは、プロジェクトのゴールが新型爆弾を製造することだと知らなかった」と説明。「インターネットとソーシャルメディアが普及した今日では、これほどの大規模な取り組みが長期にわたって秘密にできるとは想像し難い」と加えた。

さらにケリー氏は、当時と現在について「われわれまったく異なる世界に住んでいる」と述べ、「1人か2人の主要な上院議員がマンハッタン計画の白紙小切手に同意したことを除けば、議会と報道機関は闇に包まれていた。今日では不可能だ」と語った。

議会は1944年に原爆製造のための8億ドルの予算を承認したが、ほとんどの議員は、何を目的とした資金であるかを知らなかった。

ニューヨークタイムズによると、当局者らは当時、必要な資金を捻出するには議会に頼る以外にないとの結論に到達。議会が軍事費の歳出法案を採決する数日前に、ルーズベルト大統領が、ヘンリー・スティムソン陸軍長官を説明に向かわせた。

ただし説明を受けたのは、上院と下院のリーダーなどわずか7人だった。

そのうちの一人、歳出小委員会のエルマー・トーマス上院議員は、後に自らの回顧録で、スティムソン長官から「当時知られていた爆発物の1万トンの被害」と説明を受けたと振り返っている。スティムソン氏がこの時、マンハッタン計画に関する予算表を示したとも述べている。

その後、7人を除く議員らに原爆のためと悟られずに8億ドルが議会を通過するが、内訳資料には「生産の迅速化」といった漠然とした名目が記されていたという。

Mashup Reporter 編集部
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