10日に開催された第96回アカデミー賞授賞式のクライマックスで、大御所俳優アル・パチーノ(83)がプレゼンターとして登壇したが、その発表方法を巡って困惑の声が上がった。
今回は、米国の原爆開発プロジェクト「マンハッタン計画」を主導した物理学者ロバート・オッペンハイマー博士の半生を描いた『オッペンハイマー』が作品賞に輝いた。
アル・パチーノは「素晴らしい映画がノミネートされた。しかし作品賞を獲得できるのは1作品だけだ。私はその封を開けなくてはならない」と述べ、開封するなり「私には”オッペンハイマー”と見える」と受賞作品を発表した。
賞は、候補作品を紹介した後に、プレゼンターが「今年のオスカーは(Oscar ending goes to…)」の決まり文句と共に発表する。異例の方法にネットでは「アル・パチーノの作品賞のアナウンスが気になって仕方ない。これほどカオスで混乱したものはない(笑)」「いきなり本題に入った」といった声が上がった。
このほかには「候補作品を読み上げて欲しかった。シズルリール(短い動画)とちょっとした緊張感を楽しみにしていたのに」「テレビの前で絶叫した」「奇妙だけど、可笑しかった」「年寄りのレジェンドが最高の賞を授与することのマイナス点。他の作品に無礼だ」などのコメントや、舞台裏でハラハラしたプロデューサーの様子を表すミーム画像などが投稿されている。
スタッフも不意をつかれたのかもしれない。発表後、オーケストラの音楽の間に奇妙な間が流れた。
Deciderによると、ホストを務めたジミー・キンメルは授賞式終了後、同僚との会話で「彼は授賞式を一度も見たことがなかったんだと思う」とジョークで語ったという。「アメリカ人なら、”And Oscar ending goes to…”に至るまでのリズムを知っていると思うんだけど、アルはそうじゃなかった」と加えたという。
混乱を生じさせたアル・パチーノだが、作品賞を誤って発表してしまうよりはマシだろう。
2017年に開催された第89回授賞式では、スタッフから誤った封筒を手渡されたプレゼンターのウォーレン・ベイティが、『ムーンライト』ではなく『ラ・ラ・ランド』と発表するありえないハプニングが発生し、カオスを引き起こした。