10日から11日にかけて南部や中西部で発生した激しい竜巻で、これまでに確認された死者は88人に達した。ケンタッキー州では、生後5ヶ月から86歳の74人が死亡。現在も100人以上と連絡が取れない状態が続いている。アンディ・ベシア州知事は、正確な数字の把握に一週間以上を要するとの見方を示した。
NBCニュースは、12月の竜巻はまれで、強度および時期ともに専門家を驚かせるとともに、温暖化が進む世界で、異常気象がどのようになるのか、今後の問題を提起する嵐だと伝えた。ノーザン・イリノイ大学で大気科学を研究するVictor Gensini教授は、この時期の南部一帯としては、異常な暑さと湿度で、ある日、「目覚めてから大気図を眺めて、12月中旬というよりも4月並みだったとつぶやいたことを覚えている」と話した。
この一方、陰謀論者とされる人々の間では、災害を政府の企てとする説が、すでに拡散されている。
先月、サンディフック小学校銃乱射事件をめぐる名誉毀損訴訟で、コネチカット州でも敗訴が確定した極右主義者で陰謀論者のアレックス・ジョーンズは、自身が運営する番組「インフォ・ウォーズ」で、竜巻は、政府の気象兵器によるものとの考えを示唆した。
ジョーンズは、政府が50年代から気象兵器を開発していると主張。兵器は「二酸化炭素を大気から吸い出す」ジオ・エンジニアリングシステムだと話した。続けて、数百万年前は生き物が必要とする微量ガスが現在よりも豊富で、動植物が大きく、健康だったのはそのせいだなどと付け加えた。
どうやら、2016年に当時CIA長官だったジョン・ブレナンが行ったスピーチが、気象兵器の裏付けと考えているようだ。
成層圏にエアロゾルを注入するなど、ジオ・エンジニアリングの実用化をめぐる技術的問題や地政学的リスクを論じたブレナンのスピーチの一部を引用した上で、「問題は、政府が、竜巻を起こすために気候兵器を使ったかどうかだ。これはまっとうな疑問だ」と加えた。