過去10回の大統領選のうち、9回を的中させたとされる現代史が専門のアラン・リクトマン教授が、2024年大統領選の予測を確定。勝者はカマラ・ハリス氏になると発表した。
同氏のモデルは、政権の経済や軍事面における成否、政権の候補者のカリスマ性などを判定する13の指標(Key)から成る。指標は過去120年間の選挙から導き出したという。それぞれについて、状況が「True(真)」または「False(誤)」であるかを判定し、「False」が6つ以上となった場合、政権党の候補者が敗退すると予測される。今回の予測では、Falseと判定できるのは4つとした。
なお、今年2月の時点では、大統領選がバイデンvs.トランプの再対決となれば、バイデン氏が勝利する可能性が高いと語っていた。
自身のYouTubeチャンネルに進行役の息子とともに登場したリクトマン氏は、冒頭、来週の討論会を前に予測を発表する理由について、「Keyは個々の選挙イベントを超越しており、本当に重要な全体像を把握していることを示したい」と説明。各Keyの判定結果を解説した。
リクトマン氏の13の指標
1.中間選挙における議席の伸長・・False
2.予備選における異議・・True
3.現職が再選を目指している・・False
4.第三政党がない・・True
5.経済が短期的に好調・・True
6.経済が長期的に好調・・True
7.大きな政策転換・・True
8.社会不安がない・・True
9.スキャンダルがない・・True
10.海外の軍事的失敗・・True
11.海外の軍事的成功・・False
12.現職がカリスマ的・・True
13.挑戦者がカリスマ的・・False
おそらく意見が最も割れるのは経済(5と6)や軍事(10と11)だろう。
短期的な経済について、Keyの判定基準は極めて限定的で、選挙の年に景気後退があるかどうかによると説明。人々の印象に依存するものではないとした。長期的経済を好調とすることの是非は、現職の任期中における実質一人当たりGDP成長率が、過去2期の平均に相当するかどうかで測られ、バイデン政権ではこれを2倍を上回っていると根拠を述べた。
海外での軍事面の展開について、「ガザの戦争は失敗」と主張。「終わりの見えない人道的災害」を招いたとし、ネタニヤフ政権とハマス間で停戦は望めないとの見方を示した。一方、トランプ氏がバイデン氏の最大の失態と非難するアフガン撤退に関しては、ベトナム戦争を例に挙げながら「撤退はいずれも混乱するものだ」とした上で、アフガン撤退は国民のマジョリティが望んだものであり、「撤退はそのとおりになっただけで、誤った印象を与えている」と語った。
一方、ロシア・ウクライナ戦争については、バイデン氏は成功していると主張した。「マクロン氏やトルドー氏、メルケル氏など他の誰でもない、バイデン氏が一人で西側連合を結集させ、プーチン氏がウクライナを征服し、NATOを脅かし、新たな世界大戦に突入するのを阻止した」と語った。さらに「バイデン氏がウクライナで行ったことは、現代の大統領による最も重要な外交的、軍事的策略の一つとして歴史に残るだろう」と加えた。
カリスマ性に関しては、一世代に一度、伝統的な党派を超えて有権者を動かす候補者であるかどうかが基準だと説明。ハリス氏は、有色人種の女性であり前例を打破するものだが、基準においてはフランクリン・ルーズベルト大統領やレーガン大統領に匹敵しないと語った。
トランプ氏が支持者から神だと言われようが、Keyのカリスマの定義に当てはまらないとした。「明らかに偉大なショーマンだが、狭い支持層にしかアピールしていない」と語った。
そのほか、スキャンダルについては、Keyの基準は「息子や兄弟ではなく、大統領に直接関係する汚職でなければならない」とし、ハンター氏に起こっていることは関係ないとした。また、社会不安に該当するのは、60年代や70年代に都市が炎上したような「持続的で大規模な社会不安」や2020年のブラックライブズマター運動のようなもので、大学キャンパスで起きている反イスラエルの抗議運動は、数千の大学のごくわずか割合に過ぎず、Keyの定義を満たさないと語った。