米アマゾン 検索アルゴリズム変更で収益性を優先 自社製品に有利の可能性

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米アマゾンは昨年、自社にとってより収益性が高い商品が検索結果で優位になるように、検索アルゴリズムに変更を加えた。ウォール・ストリート・ジャーナルが、変更のプロジェクトに関わった人物やアマゾンのプライベートブランド事業に詳しい元幹部の話として報じた。変更は、アマゾンの自社ブランドに有利に働く可能性がある。

変更の背景には、小売部門による働きかけがあったという。同紙によると、サードパーティセラーのほか、自社ブランド製品とホールセールベンダーを監督する小売部門の幹部は、サーチエンジンの開発チーム「A9」に対して、自分たちの製品が検索上位に浮上するよう働きかけていた。また、プライベートレーベルチームは、過去数年にわたり、自社商品の売り上げを絞り出すようA9に要求していた。同部門の幹部は、食料品やドラッグストアチェーンが、ナショナルブランドとともにPB商品を陳列し、店内で販売促進をしていることを例に、検索結果で自社製品が促進されるべきだと主張したという。

またプライベートレーベル事業の幹部は、商品の収益性を測るものとして、「貢献利益」と称する新たな変数を加えることを要望したという。

これら働きかけに対し、A9は、ジェフ・ベゾス最高経営責任者の社是「Customer Obsession」(カスタマー・オブセッション)と矛盾するとして反対した。また同社の弁護士は、2017年のEUのグーグルに対する制裁を指摘し、競走法違反の懸念を表明。新たな変数の追加を拒否したという。EUは2017年、グーグルが商品検索サイト「グーグルショッピング」を優先し、競合に不利に働いたとして、競争法違反と判断。24億2,000万ユーロの制裁金を課した。

アマゾンなど大手IT企業による競走阻害の可能性を巡って、規制当局は調査の準備を進めている。ブルームバーグは先週、連邦取引委員会がアマゾンのサード・パーティーベンダーへの聞き取りを開始したと報じた。さらに先週金曜日、下院司法委員会の反トラスト法小委員会は、独占禁止法調査の一環として、アマゾンとアップル、フェイスブック、グーグルに対し、幹部のやりとりなど内部資料の提出を求めた。要求資料の中には、アマゾンベーシック製品やFBA、カートボックス獲得とアルゴリズムの関わりを含む、検索結果を決定するアルゴリズムに関する内容も含まれている。

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なお、アマゾンのスポークスパーソンはWSJに対し、検索結果に使用する基準に収益性を含めるような変更は行なっていないと否定している。

Mashup Reporter 編集部
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