米アマゾン(Amazon)は、ニューヨークのクイーンズのロングアイランドシティに予定していた第2本社建設計画の見直しを行っていることが分かった。ワシントンポスト紙が報じた。
事情を知る2人の人物によると、クイーンズ・ブロンクス地区から選出されたアレクサンドリア・オカジオ・コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)下院議員や、マイケル・ジアナリス(Michael Gianaris)上院議員ら地元議員、擁護団体による建設反対を理由に挙げているという。
アマゾンは、建設計画にあたり、オフィススペースの賃貸契約や購入は行っておらず、撤退は容易だとしている。ニューヨーク州が最終的な承認を2020年までとしているのに対し、もう1箇所の第2本社建設地バージニア州アーリントン郡クリスタルシティでは、本社施設のための契約が締結された。5,000人の雇用を創出するテネシー州ナッシュビルでは今週、議員が道路や下水関連の予算1,520万ドルを承認している。
アマゾンの計画を知る人物は「バージニアやナッシュビルでは大変歓迎されている。疑問なのは、もしニューヨークの政治家が、この計画を求めていないならば、その価値があるのだろうか。」と語っている。
アマゾンは2016年9月、事業拡大のため、シアトル本社と同等の機能を有する第2本社の建設を発表し、提案要求(RFP)を行った。新本社では、平均給与15万ドル(約1,650万円)の社員2万5,000人の雇用創出と、270億ドル(約3兆円)の税収が見込めると発表していた。
ニューヨークでは、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ(Andrew M. Cuomo)州知事とニューヨーク市のビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長は協力し、誘致活動を進めてきた。
アマゾンは昨年11月、238都市の中から、第2本社をロングアイランドシティーとクリスタルシティの2箇所に分散して建設すると公式発表した。
しかし公表された覚書には、州と市がアマゾンに25億ドル(2,745億円)の税金控除と、5億ドル(約550億円)の建設補助金の交付が含まれていたことが判明。地元の政治家や擁護団体から、優遇措置を非難する声が上がっていた。シアトルのように、家賃の高騰などを懸念する声も上がっている。
直近では、州の上院は、アマゾン批評の急先鋒、マイケル・ジナリス上院議員を公共団体管理委員会の役員に任命した。同委員会はアマゾンとの契約を拒否することができるという。
ポスト紙は、アマゾンに他の都市を見つける具体的な計画があるわけではないため、関係者に対して揺さぶりをかけている可能性もあるとしている。
今月末に開催される州の公共監理委員会と市議会でのヒアリングが、計画見直しの分岐点となる可能性もあるという。ある関係者は「いくつかの点において、プロジェクトに遅れが生じ始めた。すでに採用を始めているため、早めの結論を下す必要がある」とポスト紙に述べている。
ニューヨークへの誘致を成功させたクオモ州知事は、最近出演したラジオの中で、アマゾンとの契約に関し「この州において50年間で最大の経済取引だった。」と述べ、「今後、25,000人の仕事をもたらすビジネスを獲得することはできない。我々は100人、200人の仕事を獲得するのに膨大な時間を費やしている。」と支援する姿勢を示している。
アマゾンの計画変更の一報を受け、アレクサンドリア・オカジオ・コルテス下院議員は、ツイッターでワシントンポスト紙の記事を引用し「人々が毎日集い、世界一の企業の一つの忍び寄る拡大に対して、効果的な反対活動をすることはできますか?はい、できます。」と成果を語った。