アメリカを代表するアーティストで彫刻家のリチャード・セラ氏が26日、ニューヨークのロングアイランドにある自宅で亡くなった。85歳だった。
AP通信によると、セラさんの代理人は、死因を肺炎によるものと説明している。
サンフランシスコでロシア系ユダヤ人の母親とスペイン人の父親の家庭に生まれ育ったセラ氏は、幼くして絵を描き始めた。父親の働く造船所で時間を過ごし、カリフォルニアの大学時代は学費のために鉄鋼の鋳物工場で働いた。その後イエール大学で絵画を学び、1964年に卒業。彫刻家への転向のきっかけはヨーロッパ旅行だったという。
金属を使用した大規模な作品で知られるセラさんが注目されたのは、1981年にニューヨークのフェデラルプラザに設置された幅36.5m、高さ3.6mの作品『Tilted Arc』だった。設置は周辺に勤務する人々の猛反発に遭い、後に撤去されたが、アートシーンでの人気を固めるきっかけとなったという。
作品は政府の芸術プログラムの一環で設置されたもので、当時のニューヨークタイムズの記事によると、セラ氏は100人を超えるアーティストや作家を動員して撤去に抵抗したほか、撤去の取り組みによって名声が損なわれたとして、政府に3,000万ドルの損害賠償を求める訴えを起こすなどして争った。
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セラ氏の作品は世界中の美術館に収蔵されており、ニューヨーク近代美術館では巨大な箱型の鋼鉄を積み上げた作品「Equal」を鑑賞できる。