ロイターとイプソスが実施した最新の世論調査で、米国民の過半数が、NATOと協力してウクライナに飛行禁止区域を導入するほか、ロシア産原油の購入を止めるべきと考えていることがわかった。
調査は3日から4日にかけて831人の成人を対象に英語で実施。誤差幅は4パーセント。
飛行禁止区域について、74%が導入するべきと答えた。党派では、民主党と共和党ともに過半数を超えた。原油については80%が、同様に超党派で購入を止めるべきだと回答した。
ニューヨークタイムズによると、ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、ZOOMを使って300人を超える連邦議会議員と話し、この中で、飛行禁止区域の導入やロシア産原油の禁輸、追加の戦闘機を送るよう要請した。
一方、バイデン大統領は飛行禁止区域の導入について、「ロシアとの直接戦争につながる」(サキ報道官)として、考えを否定している。議員らも「飛行禁止区域は、第三次世界大戦の始まりだ。ロシアは飛行禁止区域を守らないため、米軍とロシア軍が衝突することになる」(クリス・マーフィー上院議員 民主党、上院外交委員会メンバー)、「直接対立することになる」(ケビン・クレイマー上院議員 共和党、上院軍事委員メンバー)「戦争に巻き込まれる」(マイク・ラウンズ上院議員 共和党、上院軍事委員メンバー)として、反対を表明している。
マーフィー議員はまた「間違いなく米露間の戦争に発展する」ため、導入にあたっては議会の承認が必要になると釘をさしている。
NATOも同様の立場を示しており、The Hillによると、イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は4日、飛行禁止区域の確立は、ヨーロッパで広範囲な紛争につながるだろうと話し、「NATOの飛行機がウクライナの領空で活動したり、軍隊をウクライナ領土に送るべきではないということで、同盟国は同意している」と述べたという。
なおロイターは、世論調査では過半数が米軍の派遣や空爆への参加に反対しており、回答者が飛行禁止区域に伴うリスクを十分に理解しているかどうかは不明だと指摘している。
プーチン大統領も警戒を示している。CBSによると5日、女性パイロットらと行った会合の中で、飛行禁止区域の導入について、「どこのメンバーであろうが、武力紛争への参加とみなす」と牽制したという。
原油について、セシリア・ラウズ大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は4日、記者団に、輸入量の削減を含む「選択の範囲」を検討していると話した。サキ報道官も同日、「世界的な供給ニーズを維持しつつ、ロシア産原油の輸入を減らす方法を模索している」と答え、米国がロシア産原油の削減をいかにt達成するか予測できないとしつつも、同問題について議会と取り組むと話した。ナンシー・ペロシ下院議長を含む民主党議員の一部は、禁輸措置を求めている。
CNNによると、米国の12月のロシア産原油の輸入は日量9万バレルで、全体の2%程度。ガソリン価格は今週、過去10年で最高を記録したが、禁輸がこれに大きな影響を与えることはないとみられている。
ちなみにAAAによると5日時点の平均価格は3.922ドル(1ガロン)で、一年前の2.752ドルから1.17ドル上昇した。サンフランシスコでは3日、米国の主要都市で史上初めて、平均価格が5ドルに達したと伝えられている。
このほかに調査では、バイデン大統領の危機対応を45%が支持すると答え、先週の34%から急上昇した。ただし、ロイターは、これがバイデン政権の支持率回復につながるかは不明だとしている。