アイオワ州の自然公園で頭蓋骨が見つかった事件に関し、同州ミッチェル郡の捜査当局は、郡内の都市オーセージ在住のネイサン・ジェームズ・ギルモア(23)を第一級殺人罪で起訴したことを明らかにした。被告の家からは、悪魔崇拝に関連する絵などが見つかったという。
裁判所に提出された資料によると、2021年7月、公園を訪れた10代の児童が「棒に置かれた人間の頭蓋骨」を発見。母親を通じてミッチェル郡保安官事務所に通報が寄せられた。頭蓋骨は後にアンジェラ・ブラッドベリーさんのものと判明するが、州検視局は当初、回収した頭蓋骨を人間のものとしたものの、身元を特定できず、事件が迷宮入りした。
進展があったのは今年2月。セロゴード郡保安官事務所に、ブラッドベリーさんの家族から、2021年4月以降、本人が行方不明になっているとの通報が入った。家族が提供したDNAサンプルと歯科情報から、頭蓋骨はブラッドベリーさんと一致することが判明。この2ヶ月後に、遺体の残りの部分も発見された。
その後の捜査により、ブラッドベリーさんの失踪時の足取りが明らかにされた。それによると、ブラッドベリーさんは2021年4月5日、カーディーラー店に不法侵入したとして逮捕、セロゴード郡刑務所に収監され、翌日6日正午に身柄を解放されていた。
釈放後、友人宅を訪問。そこで洋服を着替え、午後5時頃に「若い白人男性」と家を出た後、行方がわからなくなった。友人の話によると、男性は見知らぬ人物で、二人はミッチェル郡の都市セント・アンスガーに向かった。なおブラッドベリーさんが「連絡手段」として使用していたフェイスブックは5日以降、更新が途絶えていた。
一方、ギルモア被告はブラッドベリーさんが釈放され、行方不明となった6日の午後、裁判所の審問のため同刑務所を訪れていた。
経緯は明らかにされていないが、ギルモア被告は今年4月19日に家宅捜索を受け、この際、説明を2転3転させた挙句、6日に刑務所近くで女性を車に乗せたことを認めた。ギルモア被告の説明は、ブラッドベリーさんの容姿と一致し、乗せた時刻もブラッドベリーさんが身柄を解放された時間帯と同一だった。さらに、女性を乗せて、刑務所から程近いエリアにある家を訪れたとも供述した。ただし、訪問後に一緒に家を出たとしたものの、本人の希望で数ブロック先で下ろしたと説明。自身は職場に戻って仕事をした後、帰宅したと主張し、犯行を否定した。
事実、ギルモア被告のタイムカードは、午後4時29分から一時間ほど職場に滞在したことを示していた。しかし、フェイスブックのGPS記録から、職場から自宅のあるセント・アンスガーに戻る前に、遺体が発見された自然公園を訪問していたことが判明した。
この日の家宅捜索では、ギルモア被告の部屋にあるホワイトボードに、悪魔崇拝の象徴とみられるペンタグラムの上に山羊の頭が描かれた絵が貼られているのが見つかった。絵には飛び散った血液のようなものも描かれており、山羊の頭の横には「04-06」「0590」「43.3, -92.8」の3つの数字セットが記されていた。
捜査官は資料で、「04-06」はブラッドベリーさんが失踪した4月6日と一致し、「0590」は、現代辞書にある「誰かが生きるのに疲れている」の略語に該当すると指摘。「43.3, -92.8」は殺害現場の公園の緯度・経度に一致すると説明している。また押収されたギルモア被告のスナップチャットメッセージには、被告が元交際相手の女性の友人の男性にあてて「ミッチェル郊外で見つかった遺体のようになる」などと脅していたことも判明した。
ギルモア被告は現在ミッチェル郡刑務所に収監され、保釈金は100万ドルに設定されたという。