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アメリカのカジノといえば、ラスベガスがナンバー1だが、そのラスベガスに次ぐ全米第二のカジノ都市がニュージャージー州のアトランティックシティ。ニューヨーク市から車や電車で行けることもあって、昔から人気があり「東海岸のラスベガス」とまで謳われている。

今回は、コロナ後のアトランティックシティを訪れ、その様子をレポートしつつ、魅力と楽しみ方を紹介したい。

巨大統合型リゾート

ニューヨーク市を朝7時半に車で出発して、高速道をひたすら海沿いに南下。果てしなく続く緑豊かなアメリカの田園をぐんぐんと進むこと、約2時間半。突如として近代的な高層ホテル群が蜃気楼の如く姿を現わす。

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現在、アトランティックシティでは12のカジノ付きホテルが稼働している。その多くが、「ボードウォーク」と呼ばれる海岸沿いの全長4キロの遊歩道に面して並んでおり、観光客は海水浴や遊園地とギャンブルを同時に楽しむことができる。ラスベガスほどではないが、有名歌手のワンマンショーやイリュージョンなどもあり、典型的な統合型リゾートといえよう。ちなみに9月にはビートルズのレジェンド、リンゴ・スターが公演を予定している。

早速、ボードウォークを歩いてみた。たまたまこの日は年に一度の「アトランティックシティ航空ショー」が開催日だったため(推定)50万人の見物客が浜辺に繰り出し大変な賑わいだった。

ボードウォーク ©MashuprReporter
アミューズメントパーク「Steel Pier」©MashupReporter

最大級「ボルガタ・ホテル」

黄金色の立派な佇まい©MashuprReporter

アトランティックシティで2798室の客室数を誇る最大級のボルガタ・ホテル・カジノ&スパのフロアがこちら(上の写真)。2003年オープンのホテルは、同地では比較的新顔。世界最大のカジノチェーンMGMが経営に携わる。総面積1万5000平米のメインフロアには4000台のスロットマシーン、50台のポーカーテーブル、そしてルーレット、ブラックジャック、バカラ、クラップなどのテーブル180台がひしめき合い、これぞ「アメリカンカジノ」といった光景だ。軽快なノイズとまばゆいイリュミネーションが射幸心を否応なく掻き立てる。

カジノというと、大金を用意しなければならないと思うかもしれないが、最小1セント単位から賭けられるスロットで、1日楽しむことだってできる。一番敷居の低いゲームだけに、スロットコーナーには、女性や高齢者が一人でのんびりと遊ぶ姿が目に付く。

ルーレットのテーブルで思わぬ光景に出くわした。一人の男性客がありったけのチップをたった一つの数字に賭けているのだ。ナンバー17。いわゆるストレートアップというやつ。それにしても積み上げるだけで3分はかかる大量のチップ。周りでは取り巻き風がやんやと囃し立てる。「お、男だねえ」「潔い!」「勇気あるなあ」「あんたに俺もかける」。

ディーラーがやおらウィールを回し、ボールを投げ入れる。爽快な音を立てて盤を何度も周遊する。「ノーモアベット」とディラー。ボールは不規則なバウンスを繰り返したのち、吸い込まれるように番号ボックスに収まった。な、なんと17番。配当倍率36倍だ。嬌声と喝采がフロア中に響き渡る。こんなことが起きるのか!さすがアメリカンカジノだ。勝利したギャンブラーは、辺り構わず赤の他人と抱き合っている。勝ち取ったチップが彼の目の前に山と積まれた。数千ドル、いや数万ドルはあるだろう。

今夜は、これを軍資金に美女とステーキかな?と思いきや、この男はその全戦利金をまた、ストレートアップに投入。しかも再度の17番。何を血迷っているのだろうか?幸運は2度続かない。「やめろよ!」周りもざわついたが、制するものはいない。10分ぐらい賭けてありったけの全チップが山と積まれた。ディーラーは無表情でウィールを回す。ボールが入った。長々と回っている。異様な緊張感がテーブル周辺を覆う。やがて回転盤は止まり、ボールは番号ボックスにコトリと入る。21番…。長い嘆息。

一攫千金、悪銭身につかず、イージーカム・イージーゴーを目の前でみた気がした。こんな出来事もあるのが、アメリカのカジノである。

人気ドラマの舞台&トランプゆかりの地

カジノ街の成り立ちも興味深い。アトランティックシティの歴史は19世紀末、南北戦争以前にさかのぼる。1850年ごろにニュージャージー初のビーチリゾートとしての開発が始まり、53年には第一号のホテルが開業。翌54年には鉄道が開通。70年に名物となる「ボードウォーク」が建設され、74年ごろには年間50万人が訪れる立派な観光地となった。20世紀に入ると贅を尽くした高級ホテルが次々にボードウォーク沿いに立ち並び、1920年代にはコンクリート工法のおかげでそれらが高層ホテルに作り変えられ、「海辺の摩天楼」と呼ばれるほどの隆盛ぶりだった。

やがて、禁酒法時代(1919~33年)になると、取り締まりが甘かったアトランティックシティは密造酒、闇賭博、そして売春の横行する大歓楽街と化した。当時、そんな汚れた街を仕切っていたのが、マフィアのボス、イノック「ナッキー」ジョンソンだ。冷酷な性格と抜きんでた商才で、みるみるのし上がった彼は、有名なシカゴ・マフィアのボス、アル・カポネらと全米規模の広範な「悪事のネットワーク」を構築し、「泣く子も黙る」存在だった。ジョンソンをモデルにした最近の人気TVドラマに、名匠スコセッシが製作指揮に関わった「ボードウォーク・エンパイア欲望の街」(2010-14)がある。

禁酒法時代、この街でもギャンブルはもちろん違法だった。ギャンブルが合法化され「東海岸のラスベガス」にまで発展したのは、ずっと後のこと。戦後、すっかり衰退した闇賭博の街は、治安も悪化し、荒れ放題だった。そこで街の再興を目論んで1976年、住民投票により、東海岸初のギャンブル合法都市としての認可を得た。1978年には同じく初のカジノ・ホテルが誕生。ボードウォーク沿いにもラスベガスを意識したホテルがずらっと並んだ。

ところが、治安の改善は思い通りには進まず、相変わらず犯罪が多発して貧困層も増える状況だった。そこに、登場したのが、かのドナルド・トランプである。トランプは、持ち前のメディア人脈を駆使して、ボクシングのビッグマッチを誘致するなど派手なイベントを成功させ、アトランティックシティの認知を格段に上げた。そして自らもカジノホテルの経営に乗り出し、いくつものトランプ系ホテルやカジノを建てた。中でも有名だったのが「タージ・マハル」(現在は「ハードロック・カジノ」)という大型ホテル。ところが、建設業者への支払いが滞るなど、トランプの経営にはダークな部分も多く、実際は赤字の施設も多かったなどで、評価は割れている。

90年代から2000年代になると、カジノの新旧交代劇もあり、(そんな中で生まれたのが前述のボルガタ)やがて2010年台に入ると、今度は業界全体の衰退が激しくなる。2006年には52億ドルあった年間収益が、2014年には29億ドルまでに収縮してしまった。(そのおかげで州があてにしていたカジノからの税収が半減して高齢者補助の資金が底をついたという話もある)。2015年には、ついには40年続いたアトランティックシティのギャンブル業独占が解除され、ニュージャージー州の他地域でもギャンブル営業ができるように法改正が行われている。

魅力的な「ハードロック・カジノ」

ジェットコースターのように上昇と下降を繰り返すアトランティックシティだが、やはり新機軸には注目が集まりお金が落ちるようだ。例えば、かつてトランプが所有していたタージ・マハル・ホテルカジノを買い取り全面改装したハードロック・カジノは、コロナ後の客室稼働率が95%とこのエリアの中では群を抜いて集客率が高い。のぞいてみると、その人気の理由がうなずける。

1) 内装がモダンでポップ。ハードロックカフェらしく有名ミュージシャンのメモラビリア展示も一見の価値があるし、シアターで行われるワンライナーのショーの顔ぶれも一流ぞろいだ。

2) そして館内のレストランのチョイスも、高級からカジュアルライン、イタリアン、日本食、食べ放題ブッフェ、ベーカリーと多彩。

3) 客層もボルガタなど古株に比べるとぐっと若いし、家族連れやヤングカップルが多い。一見するとクルーズ船のような高揚感のあるヴァケーション空間になっている。

4) カジノフロアが明るく、ゲームセンターの雰囲気。明らかにX世代やミレニアルを標的にしたデザインだ。旧態依然のマシーンやテーブルでは、もう若い層を惹きつけられない「実店舗型」カジノの現実をよく知っていると思う。

ホテルはボードウォークに隣接しており、ビーチや遊園地に歩いて出かけることができ、家族連れも思う存分楽しめる。

ビートルズの本物の衣装 音楽ファンを唸らせる記念品展示も見ものだ

ロバート・デ・ニーロの高級和食店がオープン予定

古参シーザーズにとって高級和食は起死回生の一手となるか

明らかに時代に後押しされている切迫感と同時に前向きな意識を感じさせるハードロックカジノ。一方、超古株の「シーザーズ」では、レストランの改装に躍起だ。中でも注目は、ニューヨークの有名ジャパニーズレストラン「NOBU」がプロデユースするホテルとレストランを、丸ごと古代ローマ帝国がテーマのシーザーズの中に埋め込むという計画。NOBUをシェフの松久信幸氏とともに共同経営するのは、俳優のロバート・デニーロ氏。中近東やヨーロッパも含め全地球的規模で展開する新時代の高級レストランチェーンだ。

すでにACの各カジノには必ず一軒は日本料理店が入っている。いずれも寿司とアジア創作料理的な内容で、NOBUのようなハイエンドなレベルのものはまだなかった。超高級層=ハイローラーを狙ってのリニューアルだが、今年8月オープンの予定が大幅に遅れ、開業は秋以降になる見通し。

カジノの未来:オンラインとリアルの共存

スポーツベッティング専用バー

最後に付け加えておかなくてはならないのが、オンラインカジノの盛り上がりである。先にも書いたように、ニュージャージー州はアトランティックシティ以外の地域にもギャンブル営業を解放した。そして、早くからオンラインカジノの導入に積極的で、2018年からオンラインによるスポーツ賭博(スポーツベッティング)の許可を与えている。これが2020年のコロナの感染拡大の影響で爆発的にヒット。今や、オンラインスポーツ賭博がギャンブル業界を支えていると言っても過言ではない。

自宅でスマホやパソコンを使って一人でやる賭け事なのに、どのカジノフロアにも必ず「スポーツブック」のコーナーが設置されており、大型モニターで全米のプロ・アマ4大スポーツおよび世界のサッカーの試合をライブでチェックしながら賭けを楽しむことができる。普段から、自宅でスポーツ賭博をやりつけている人なら、仲間と一緒に生中継で刻々変わる興奮を味わうのも良いだろう。

スポーツ賭博…日本人には抵抗のある概念だが、近年のアメリカでは、テクノロジーや細かいルール規制を駆使して、公正にギャンブルができるようなシステムとなっている。

ちなみに最近では日本語のスマホ対応のオンラインカジノも多い。利用方法や注意点については専門サイトの記事を参照されたい。(レポート全文はこちらをクリック

参考:ニューヨークからの行き方

ニューヨークからアトランティックシティまでは約200キロで、東京-静岡間ほどの距離がある。今回は車で訪れたが、カジノ目当てならば現地で動き回る必要はないので、長距離バスの利用も検討したい。

公共交通機関「NJ Transit」や「Greyhound」といったバス会社を利用できる。

「NJ Transit」の場合、マンハッタンのポート・オーソリティ・バス・ターミナルから319番バスに乗って、2時間ほどでアトランティック・シティ・バス・ターミナルに到着する。運賃は現在片道39ドル。「Greyhound」もポート・オーソリティが出発地点で、片道は20ドル代後半~と、やや節約することができる。

  • NJ Transit ホームページ:https://www.njtransit.com/
  • Greyhoundホームページ:https://www.greyhound.com/AC
Mashup Reporter 編集部
Mashup Reporter 編集部です。ニューヨークから耳寄りの情報をお届けします。