ブランドマネジメント事業を展開するオーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、以下ABG)は1日、米高級百貨店バーニーズ・ニューヨーク(Barneys New York)の知的財産の買収を完了したと発表した。ニューヨーク州ホキプシーの破産裁判所が買収承認の最終決定を下した。
同社は声明で、マーケティングの専門性やネットワークを生かし「ポップアップやショップ・イン・ショップ、ECを含む小売事業を通じ、バーニーズ・ニューヨークの世界的存在を高めていく」と発表。続けて、バーニーズの小売とECのパートナーとして、高級百貨店サックス・フィフィス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)と協力するとし、「事業の第一段階として、新たに改装したニューヨークのサックス旗艦店で5階にバーニーズを再起動させる」と述べた。さらに、米国とカナダで同百貨店内にショップ・イン・ショップをローンチする計画であることを明らかにした。
なお、日本にある12店舗については、セブン&アイ・ホールディングスのライセンス契約を維持し、営業を続けるとしている。
ニューヨークタイムズは、「バーニーズにとってのD-デイ」と、ノルマンディー上陸作戦の開始日になぞらえ、「高級ファッション小売業界の転機となりうる」と報じた。金融会社B・ライリー・ファイナンシャル(B. Riley Financial)と協力の元、現存する7店舗で来週以降に閉店セールを開催する予定だという。
バーニーズは8月に連邦破産法第11条の適用を申請。10月に、当て馬(ストーキング・ホース)として、ABGに2億7140万ドルで全資産を売却することで合意した。
同社との買収成立を前に、「キース」(Kith)の共同創始者で、トレードショーを運営する企業を所有するサム・ベン・アブラハム(Sam Ben-Avraham)氏や従業員らが#SaveBarneysのキャンペーンを発足。全店舗閉鎖を回避し、ブランド立て直しを図るため、投資家を募り入札に参加する意向を表明していた。
アブラハム氏は1日、入札を断念したと発表。声明で「残念なことだが、経済界の人々に、バーニーズを存続させるこへの経済的意義を説得することができなかった。」と述べた。「数字を見ると理に適わないことは最初から分かっていたが、その先にそれ以上の未来があると望んでいた。」と述べ、「店は無くなるかもしれないが、バーニーズのスピリッツは永遠だ。」と語った。アカウント名も「The Spirit of Barney」に変更された。