民主社会主義を自認するバーニー・サンダース上院議員(バーモント州 無所属)は19日、2020年大統領選への出馬を表明した。
「私は大統領選に出馬する。あなたがたには私に参加してほしい。全国100万人で始める、かつてない、歴史的な草の根の選挙キャンペーンの一員となってほしい。」
公開したキャンペーンビデオでは、メディケア・フォー・オール、大学教育無償化、グリーンニューディール、最低賃金、DACAの保護や包括的移民法改正などの政策を掲げ、キャンペーンへの参加を呼びかけた。
ニューヨークタイムズによると、サンダース議員は支持者らには出馬をメールで報告した。「皆様がご存知の通り、我々はアメリカの歴史の分かれ目となる危険な瞬間に生きている。」と述べ「私たちは、病的虚言者で詐欺、人種差別、性差別、外国人嫌いの大統領、アメリカを独裁主義に導き、民主主義を損う大統領に立ち向かう。」と語った。
サンダース議員の大統領選出馬は、前回に続いて2回目となる。2016年キャンペーンでは、ヒラリークリントン氏との戦いが、エスタブリッシュ vs プログレッシブとして注目を集めた。クリントン陣営の全国的知名度と資金力にも関わらず、サンダース陣営はニュー・ハンプシャーやウィスコンシン、ミシガン、インディアナなどの州で予備選に勝利し、予想を超える躍進を遂げた。
メールでサンダース議員は「3年前、2016年キャンペーンで4番目の進歩主義の政策課題を持ち出した時、我々の考えは”急進的”で”極端”だと言われた」と述べつつ、「3年が過ぎ去り、数百万人の国民が立ち上がって戦った結果、すべての政策とそれ以上のものが、アメリカ人の大半の支持を得ている」と語った。
かつては急進的とみられていた「メディケア・フォー・オール(高齢者向け公的医療保険の全国民への拡大)」は、民主党からすでに出馬を表明しているカマラ・ハリス議員やエリザベス・ウォーレン議員、カーステン・ギリブランド議員らも支持を表明している。
またサンダース議員が生活賃金と呼ぶ、最低賃金時給15ドルは、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、ニューヨーク州、ワシントンD.Cで実現。ニュージャージー州など、他州が追随する動きを見せている。下院民主党では181名が共同提案者となって、連邦最低賃金を15ドルに引き上げる法案が提出された。
2018年の中間選挙では女性やマイノリティ、初当選議員などが多く当選した。ニューヨークタイムズによると、サンダース議員(77)は長い議員キャリアを通じて政策を大きく変化させておらず、新しい声を求める民主党では苦戦を強いられる可能性もある。同紙は、サンダース氏の課題について、黒人の支持者の拡大と、最近明るみに出た、2016年のサンダース陣営内のセクハラ疑惑への対処などを挙げた。
さらに2020年では、共和党の激しい攻撃に直面するとみられると同時に、メディアの注目も前回より高まる。中でも、2005年に、多くの賠償責任訴訟から銃メーカーとディーラー免責する法案を支持したことや、1990年に連邦議会選挙に出馬した際、拳銃販売において、待機期間を義務付ける法案に反対を約束し、NRAから支持を得ていたことなどが、攻撃材料として持ち出されることが確実視されている。
現在、連邦議員で2020年大統領選に出馬を表明しているのは、エイミー・クロブシャー上院議員(民主党)、コーリー・ブッカー上院議員(民主党)、カマラ・ハリス上院議員(民主党)、エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)、カーステン・ギリブランド上院議員(民主党)、トゥルシ・ガバード下院議員。また、元住宅都市開発長官のジュリアン・カストロ氏が出馬を表明している。
CNNが2月に発表した調査では、民主党を支持する有権者の44%がジョー・バイデン全副大統領を、32%がカマラ・ハリス上院議員を支持するだろうと回答。サンダース議員の指示は3番目に高い21%となった。