バイデン氏 トランプ氏をうっかりアシスト?発言が話題に

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バイデン大統領のホワイトハウス記者会見の発言をめぐって、ハリス氏の勝利を妨害しようとしているのではないか。そんな憶測が浮上している。

4日の記者会見で、ハリケーンや港湾労働者のストライキ、中東情勢の悪化など次々と勃発する危機にハリス氏がいかなる役割を果たしているかを聞かれたバイデン氏は、ハリス氏は政権のすべてにおいて「主要」な役割を果たしてきたと称賛した。

「私は彼女と常に連絡をとっている。われわれは同意見だ。彼女は今採用されているすべての法案を成立させた。彼女は、決して成立しないとも言われた法案の通過を含む、われわれが成したことのすべてにおける主要なプレイヤーだ。それゆえに彼女と彼女のスタッフは、私が行っていることのすべてにおいて私のチームと連携している」。

バイデン氏はこの日、東海岸の港湾労働者のストの終結や予想を上回る雇用統計など、バイデン・ハリス政権にとって前向きな報告を行った。

ハリス氏にとって手柄のはずだが、共和党のストラテジストでCNNの政治コメンテーター、スコット・ジェニングス氏は、バイデン氏のコメントについて、「彼は文字通り彼女の選挙運動を破壊しようとしている。これはすごい」と評した

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トランプ陣営は現在、移民危機をはじめとする問題をハリス氏に直接結び付けようとしており、過去3年半の責任は副大統領にあると非難するなど、ハリス責任論を支持者らに盛んに訴えている。JDバンス氏は、先週の副大統領候補者討論会のクロージングで、食料品価格と住宅価格の高騰や治安の悪化、薬物の蔓延は「ハリス政権」のせいだと主張。ハリス氏は多数の就任初日の公約を掲げているが、「就任初日は1400日前だ」と批判した。

自らを「ページをめくる」変革の新たな担い手として売り込むハリス氏側も、バイデン氏と距離を保つ必要性を認識しているとされ、選挙集会ではバイデン氏の名前に触れる機会も減少している。

NBCニュースによると、ハリス氏は今月ピッツバーグで40分間にわたって行った演説で、バイデン氏の名前を一度も挙げなかった。以前は集会で「バイデン大統領と私が就任して以来、我が国は大きく前進した」と語っていたが、今では「われわれ」という言葉が当たり前になっているという。

実際のところ、インフレ率はコロナ禍の直前の水準に戻り、国境警備も改善傾向にある。政府の統計では、7月に南部国境を超えた移民はほぼ4年ぶりの低水準だった。また、FBIは先日、今年上半期の暴力犯罪は前年比で推定10.3%減少しているとの統計を示した。こうした改善が遅きに失した点やデータの信頼性を疑う声があるものの、ある専門家は、英紙ガーディアンに、ハリス氏には「選挙に勝利するための完全なレシピ」が理論上整っていると指摘している。

政権の残り期間がわずか3か月となったバイデン氏は一抹の寂しさを感じているようだ。

NBCニュースは1日、バイデン氏は側近との私的な会話で、自身の名前と功績が国民の話題から消えてしまったと不満を漏らしていると報じた。関係者によると、バイデン氏は特に、ハリス氏がトランプ氏との討論会で「明らかに私はジョー・バイデンではない」と反論した一連のくだりに「傷ついた」という。