バイデン大統領は22日の記者会見で、議会に向けて、連邦ガソリン税を3ヶ月間停止する法案の可決を呼びかけた。
22日時点のガソリン平均価格は1ガロン(3.785リットル)4.955ドル(約673.27円)。5ドルを突破した一週間前から低下したものの、一年前の3.069ドルを約1.6倍以上上回っている。最も高い州はカリフォルニア州で6.371ドル。オレゴン、ワシントン、ユタ、ネバダ、アリゾナなども5ドルを超えている。
連邦税は18.4セントで、ガソリン価格に占める割合は3.7%。15ガロンのセダンを満タンにした場合、2.76ドルの節約になる。
バイデン氏は「少しの負担軽減」と認めつつ、州にも州税停止やその他の方法で負担を軽減する方法を実施するよう呼びかけた。米エネルギー情報局によると州税は平均31.02セント。さらに石油会社は利益を自社株買いに費やすのではなく、製油能力の増加に務めてほしいと訴え、これらが実現することで1ドル以上の価格低下が見込めるとした。
価格高騰について、ロシアのウクライナ侵攻開始後2ドル上昇したと指摘した上で、「自由を守り、民主主義を守ることは、米国民とその他の自由社会のコストをかけずに行くことはできない」と理解を求めた。
ガソリン税は道路信託基金の重要な財源となっているが、自身の提案は、基金に影響を与えずに連邦ガソリン税を一時停止することだと主張した。ただし代わりとなる具体的な財源は示さなかった。
バイデン氏としては中間選挙を前に、民主党の支持率回復に貢献したいところだが、メディアは冷ややかな反応を示している。
ワシントンポストは、深刻な製油量の不足が、コロナ回復後の需要増と相まって価格高騰を招いているとした上で、ガソリン税の停止はさらなる需要増となり、価格を上げるだけだとする経済学者の見解を紹介。加えて、共和党議員は、免税を「トリック」で家計の助けにならないと主張しており、これは多くの民主党議員がめずらしく同意している点でもあるとした。
ニューヨークタイムズは、ガソリン税は価格全体のほんの一部で、インパクトは極めて限定的で、消費者は気が付かないかもしれないと指摘。インフラ投資といったバイデン氏の主要な立法上成果を損なう可能性があるとしたほか、民主党の中でさえコンセンサスが得られていない提案を議会に訴えるという判断は、支持率低下につながる問題に対して、小さな対応でさえ見つけていこうとするホワイトハウスの絶望の表れだと評した。
政治サイトのポリティコは、仮に議会が協力的であったとしても、多くの研究では、節約された金額のすべてが消費者にわたることにならないことを示していると指摘。バイデン氏のシグニチャーのインフラ法の財源が奪われるほか、11月の選挙の助けにもならないだろうとした。
同紙によると、ペンシルベニア大学ウォートン校は3月に発表した調査で、3月から年末まで連邦ガソリン税を停止した場合、個人が節約できる金額は16ドル~47ドル程度だが、政府が失う税収は200億ドルに上ると試算を示している。