バイデン氏の撤退演説に残ったギモンとは

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バイデン大統領の選挙からの撤退演説をめぐって、英断を称える声がある一方、時期や内容に対する批判的な意見が寄せられている。

バイデン氏は24日、ホワイトハウスで行なった国民向け演説で、「危機に瀕している民主主義を守る」ことの重大性は個人的な肩書きや野心に勝ると説明。民主主義を保護するために国民は団結しなければならないとし、「国家を団結させる最善の方法」は「新たな世代にバトンを渡すことだと判断した」と語った。「この重大な取り組みにおいて、我が党を団結させなければならないことが明白になった」と、撤退理由を示唆する一方、「大統領としての私の実績、世界における私のリーダーシップ、アメリカの将来に対する私のビジョンはすべて二期目に値するものと信じている」と、指導者としての資質に自信をのぞかせた。選挙戦を通じて有権者にくすぶり続けた健康不安に対する説明はなかった。

このスピーチに奉仕の精神や人格を賞賛する声が上がった。

「愛国心や無私の奉仕とは如何なるものかを示すテントポール。権威主義や独裁独裁政治の考えとは真逆の大統領観を示した」(MSNBCキャスター、レイチェル・マドウ)

「人格が依然重要だという問題を投げかけた。・・彼は年老いているが、心はまだそこにある。言葉は明確ではなかったが、愛は明確だ」(政治アナリスト、ヴァン・ジョーンズ)

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「(自らを吃音の子供と語った件に関して)どのような出自であっても、大統領執務室に行き着くことができるというアメリカの約束を語る方法は、レトリックで知られていない大統領にとって、優れたレトリックだった」(CBSニュース、ジョン・ディッカーソン)

この一方で、「決断が遅すぎる」「説明が不十分」という不満も。

「1年前にこの演説を行い、党員に他の候補者への投票を呼びかけ、自分を信頼してくれた国民に感謝を示していれば、政権の信頼に対するダメージははるかに少なく、競争力の高い予備選を実現できた」(MSNBCシニアエディター、アンソニー・L・フィッシャー)

USAトゥディのコラムニスト、イングリッド・ジャック氏は、「これが民主主義を守るということなのか?」と疑問を呈し、厳しい言葉を並べた。

「バイデン氏は自らの健康状態についてアメリカ国民に正直に話すことを拒否した」「なぜこれほど長い間決断を遅らせたのか、適切な理由を述べなかった。遅い判断のために、民主党は強力な候補者の中から選ぶことができたはずの真の予備選を実施できなかった」「この先数ヶ月間は、激動の時代が待ち受けているが、それを率いる人物だという自信は何一つ示さなかった」

「彼は2期目の出馬を最終的に断念する決断を下した理由について詳細を語らなかった。しかし同時に、彼が感じていたでろう恨みを抑えていた」(ニューヨークタイムズ、ピーター・ベイカー)

バイデン氏の撤退表明後、これまでに3,300人を超える代議員がカマラ・ハリス副大統領への支持を約束。11月の選挙はトランプ氏対ハリス氏となることがほぼ確実となった。