ジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェルによる性的人身売買事件に関連する150名を超える人物の名前が、早くて明日にも公にされる。
ニューヨークのロレッタ・プレスカ連邦判事は先月18日、性的犯罪の告発者の一人、バージニア・ロバーツ・ジュフレ氏とギレーヌ・マクスウェル受刑者との間で2015年に争われた名誉毀損訴訟に関連する裁判資料で匿名とされていた人物らの氏名の機密解除を命じた。
マクスウェル受刑者は、1994年から2004年の間に未成年の少女らを勧誘、手なずけ、エプスタイン元被告による性的虐待を助けたとして、2020年に起訴され、翌年に未成年者に対する性的人身売買罪を含む5つの罪で有罪となった。20年の実刑を宣告され、現在フロリダ州の連邦刑務所に服役している。
エプスタイン元被告は、2019年7月に逮捕、起訴されたが、翌月に勾留施設で自殺をはかり死亡した。
プレスカ判事は先月、51ページにおよぶ公開候補者のリストを示し、当事者による異議申し立ての期限を1月1日としていた。
リストには、メディアで二人との関係がすてに広く報じられていることや、その他の裁判で証人となったことから既に知られているといった点など、それぞれの公開の理由が示されている。その中には、従業員からエプスタイン元被告のプライベートジェットの搭乗者、被害者の名前も含まれると見られている。
匿名36番はビル・クリントン元大統領
ABCニュースは機密の解除を前に、リストの36番目の人物はビル・クリントン元大統領だと報じた。クリントン氏は裁判資料で50回以上も言及されており、この一部は、2016年中盤にジュフレ氏側がクリントン氏の証言録取を取ろうとする試みに関連するものだという。なお、ジュフレ氏の弁護士らがクリントン氏側の弁護士と非公式に協議を開始したのは、妻ヒラリー氏が民主党の大統領候補者指名を獲得した数日後のことだったという。証言の要求は、同年6月末に判事によって却下された。
ABCによると、クリントン氏側から氏名の公開に関する異議申し立てはなかった。
クリントン氏とエプスタイン元被告の関係は度々報じられており、クリントン氏側の報道官も、2002年から2003年に元大統領が自身の財団の仕事に関連してエプスタイン元被告のジェット機を4回利用したと認めている。
2002年9月、クリントン氏(当時56歳)は、クリントン財団の人道支援に関するプロジェクトの一環で、エプスタイン元被告のジェット機でニューヨークからアフリカに向かった。エプスタイン氏のほかに、マクスウェル受刑者、俳優のケビン・スペイシー、クリス・タッカーらが同行していたと報じられている。
英紙デイリーメールは2020年、その移動の最中に、エプスタイン元被告の性的暴行の告発者で、当時マッサージ師だったシャンティー・デービス氏(当時22歳)から、クリントン氏が肩のマッサージを受ける写真を掲載した。
エプスタイン元被告の死後、1993年に開催されたホワイトハウス歴史協会に対する寄付者を集めたレセプションに、同氏がマクスウェル受刑者とともに出席していたことが明らかになった。アーカンソー州のクリントン大統領図書館のアーカイブには、この時に二人がクリントン氏と挨拶をする様子を撮影した写真が保存されている。
クリントン氏の報道官は、エプスタイン元被告がフロリダで捜査対象となる以前の2005年に関係を解消しているとしているほか、犯罪の舞台となったリトル・セント・ジェームズ島を訪れたことはないとしている。ABCによれば、裁判資料にはクリントン氏の違法行為の証拠は含まれておらず、ジュフレ氏も不正行為を主張していない。ただし、リトル・セント・ジェームズ島で会ったことがあるとしており、両者の主張に食い違いが生じている。