これまでにも互いに意見の相違をあらわにしてきた世界屈指の富豪ビル・ゲイツ氏とイーロン・マスク氏。この度、ゲイツ氏が、マスク氏の火星植民地構想に苦言を呈した。
CNBCが3日に放送を予定するBBCのインタビューを元に伝えたところによると、ゲイツ氏は、火星に行くことが良いお金の使い道かと聞かれると、「私の考えでは、そうではない」と回答。「実際、火星に行くのはかなりかかる」と述べ、「はしかのワクチンを買えば、一人あたり1,000ドルで命を救うことができる」と語った。「そう考えれば納得がいく。火星に行くのはやめよう」と話した。
フィランソロピストとして先輩にあたるゲイツ氏は、マスク氏の慈善家としての適正について「テスラのような事業は、フィランソロピーの形をとらなくともポジティブなインパクトを与えられると思う」と、現在はそうではないとの思いを暗に示しつつ、「いつか発明の才を活かして、慈善家の仲間入りを果たすと思う」と話した。
2002年にマスク氏が共同創設した「スペースX」は、火星への有人飛行を目指し、最終的に人類を移住させることを目標に掲げている。宇宙開発企業「ブルー・オリジン」を手がけるアマゾンの元CEO、ジェフ・ベゾス氏も、人類は未来、宇宙コロニーで暮らし、宇宙で生まれる日が来ると予測している。
一方、自身の財団を通じてワクチンの研究開発など健康分野に多額の資金を提供しているゲイツ氏は、先月レディットで開いた質疑応答の際、その理由について「1000ドル以下で救えたはずの子供たちが死んでいくのを目の当たりにした時、これが寄付の最優先事項でなければならないと悟った」と説明。「年間100万人の子供の命を奪うマラリアのような病気に対処するための資金を提供するところはほとんどない」と続け、「進歩はあったが、それでもまだ40万人だ。これをゼロにすることにコミットしている」と語った。
二人はこれまでにも互いの活動について公に言い争っている。マスク氏は昨年4月、ゲイツ氏によるテスラ株の空売りを批判。「気候変動の解決に最も力を注いでいる企業であるテスラに対して、大量のショートポジションを有しているのは、申し訳ないが、気候変動に対するあなたの慈善活動を真剣に受け止めることはできない」と皮肉を述べた。これに対してゲイツ氏はBBCのインタビューで、投資を分散させているだけで、空売りは気候変動とは関係ないと反論した。