コメディアンのビル・マーは3日、自身が司会を務めるHBOの番組Real Timeで、学生による反戦デモに言及しつつ、バイデン政権が提案する学生ローン免除計画に疑問を呈した。
マー氏は、バイデン政権下での返済免除は「合計額で8,700億ドルから1兆4,000億ドルで多額だ」と指摘。「大学は授業料の値上げを継続的に行っている。子供たちはさらに借金をつくる。その後政府がきてその借金を返済する。つまり私の税金でこのユダヤ人ヘイトを支援していること。そんなのないよ」と不満を示した。
番組のゲストで、トランプ政権で上級顧問を務めたケリーアン・コンウェイ氏は「非常に不公平」と同意。必要な人に手を差し伸べるという政府の方針には賛成するとしつつも「医師や弁護士の学生ローンを配管工らに支払わせることはできない。それは公平ではない」「彼は政治的なゲームとしてやっており、それは皆知っている。若者の支持を得るために金をばらまいている」と政策を非難した。
もう1人のゲスト、ブルームバーグ・ビジネスウィークのジャーナリスト、ジョシュア・グリーン氏も「しかも、それは機能していない」と指摘した。
「若者のガザに対する関心は15番目から16番目。ガザより低いのは、学生のローン免除のみだ。要するに、若者の投票の動機としては機能していない。彼らの半数は”ジェノサイド・ジョー”と叫んでいる。公共政策だけでなく政治的な観点からも逆効果だ」と語った。
マー氏が「トランプは若者の間で11ポイントリードしている」と世論調査に触れると、コンウェイ氏は「CNNによると。そうね」と加え、グリーン氏も「私にとって非常に驚くべきことだ」と答えた。
デモはユダヤ人差別?
なお、全米各地に学生の抗議活動が広がるなか、「反ユダヤ主義」の定義自体も論争の的になっている。
ネタニヤフ首相は4月、学生の抗議者らを「反ユダヤ主義の暴徒」と呼び、「彼らはイスラエルの殲滅を要求している」と述べた。
一方、USA Todayによると、デモ参加者からは、一部の政治家を含む批評家がイスラエル政府への反対の声を反ユダヤ主義と混同しているといった非難の声が上がっている。米メディアでは「反戦デモ」「新パレスチナ抗議」「反イスラエル抗議」など、様々な言葉で報じられている。
左派の重鎮、バーニー・サンダース上院議員は先週、CNNのインタビューで、学生らの抗議活動は「親ハマス」ではなく、イスラエル政府のガザへの行いに対する怒りだと指摘。「右翼過激主義のネタニヤフ政権」への米政府の軍事支援と資金提供の継続に反対するという「正当な理由」によるものだと語った。
さらに、ネタニヤフ氏に批判的な人々を反ユダヤ主義だとする考えは馬鹿げている、そうした考えは言論の自由の観点から超えてはならない危険な一線だ、と反ユダヤ主義の定義を拡大する議会の動きを牽制。また、米国民の圧倒的多数は、パレスチナ人の破壊にさらなる税金が使用されることに反対しているとも主張した。