米FOXニュースのプライムタイムの報道番組「ジ・オライリー・ファクター(The O’Reilly Factor)」で司会を務める人気コメンテーター、ビル・オライリー氏(Bill O’reilly)の番組降板が決定した。
決定は、親会社にあたる21世紀フォックス社がウェブサイトを通じて発表。
「疑惑問題を注意深く検討した結果、当社とビル・オライリー氏の間で、ビル・オライリー氏がFOXニュースチャンネルに戻らないことについて、同意に至りました。」
疑惑は、同氏が過去数年にわたり、5人の女性に対してセクシャルハラスメントや不適切な言動を行っていたというもの。ニューヨークタイムズは4月1日に、ビル氏または会社側と被害女性との間で、訴訟や口外しないことを条件に、総額13ミリオンドル(約14億3000万円)の和解金が成立していたことを報道。5名中2名の問題については知られていたが、3名については同報道を通じて明らかとなった。これをきっかけに、50社が番組スポンサーを降板を決定。さらに、女性権利団体等を中心に解雇を求める声が高まっていた。なお、ビル氏は4月11日の番組内で、休暇に入ることを宣言。24日に番組に復帰する予定となっていた。
ジ・オライリー・ファクターは1996年から続くFOXニュースの看板番組。同局の最も人気の高い報道番組で、2017年の第一四半期には番組史上最高の400万人近くの平均視聴数を獲得している。4月1日の報道以降も、平均370万の高視聴数を維持していたが、メルセデスベンツ、北米BMW、Allstate Corp、製薬会社のサノフィ、紳士服のUntuckit社などの大手企業が次々とスポンサーを降板する事態に発展していた。
さらに、4月5日に、番組でゲストコメンテーターを務めたWendy Walsh氏が、FOX社の設置するホットラインに新たなハラスメント被害を報告。また、昨日、もう一名の女性が、同氏による不適切な言動について報告をしていたことが、弁護士を通じて明らかになった。
番組を離れることについて、ビル・オライリー氏は声明を発表。ハラスメント疑惑については、否定するスタンスを取り続けている。
「過去20年以上にわたるFOXニュースにおける仕事で、史上最も成功した報道番組を開始し、リードしてきたことを非常に誇りに思っています。番組は、いつも多くの国民に情報をお届けし、楽しみを与えるとともに、FOXをテレビの有力なニュースネットワークへと築き上げることに多大なる貢献を果たしました。全くもって根拠のない主張のために、関係を断つことは非常に残念でなりません。しかし、これは、公衆にさらさられる仕事をする多くの者の不幸な現実です。これからは、前例のない成功を成し遂げたことに対する誇りと、献身的な視聴者への深い感謝とともに、FOXで過ごした日々を振り返っていくことになるでしょう。FOXニュースの発展をこころより願っています。」