26日、約15カ月ぶりに公演を再開したブルース・スプリングスティーンのブロードウェイショー「スプリングスティーン・オン・ブロードウェー」(Springsteen on Broadway)では、大勢の反ワクチン派が劇場前に集まり、抗議をする騒動があった。
ショーの劇場運営にあたるJujamcyn社は、再開にあたりウェブサイトに新型コロナ対策ルールを掲載。「健康上の理由や、宗教上の敬虔な信仰がある場合」を除き、WHO(世界保健機関)またはFDA(米食品医薬品局)が承認したワクチンを接種済みであることの証明を義務付け、接種を終えていない人は検査の陰性証明(抗原検査は公演開始の6時間前、PCR検査は72時間前以内)の提出を求めるとした。
この入場制限に対し、反ワクチン派は強く反発。公演再開初日には、劇場前で「ワクチンパスポートの廃止を」「ブルース・スプリングスティーンはブロードウェイに差別を持ち込んでいる」などのプラカードを掲げて抗議する人が多く集まった。会場入り口で「ブルース、恥を知れ」や名曲「ボーン・イン・ザ・USA」にかけて「ワクチンをしないために生まれた」などの合唱が起こった。SNSでは抗議行動の様子を捉えた写真や動画の投稿が相次いだ。
ロサンゼルス・タイムズによると、今月ロサンゼルス近郊で行われたロックバンド、フー・ファイターズのコンサートでも同様に、観客に原則ワクチン接種を義務づけたことで、コンサート会場「アゴウラ・ヒルズ・クラブ」前では「差別だ」と抗議デモが起きた。
公演再開までの道のり
「スプリングスティーン・オン・ブロードウェー」は、スプリングスティーンの自伝「ボーン・トゥ・ラン」(Born to Run)を基にしたショー。初演は2017年10月で、2018年12月まで行われた全236回公演のチケットが全て完売する人気を博した。その後、映画化され、サウンドトラックアルバムも発売されている。
「ライオン・キング」や「ハミルトン」など多くのブロードウェイミュージカルは9月14日に再開するが、スプリングスティーンのショーは最も早く始まった。
スプリングスティーンは「ブロードウェーの公演は自分が大好きな仕事だ。再開を祝う公演の一つとして依頼されたことにワクワクしている」とコメントした。
ショーは、9月4日まで期間限定で開催。オープニングナイトの収益は、地元ニューヨーク・ニュージャージー地区の青少年支援団体やフードバンク、パンデミック救済基金などに寄付される。