27日、トランプ前大統領はマンハッタンの中心部にあるマディソン・スクエア・ガーデンで選挙集会を開催した。
収容人数19.500人の会場はほぼ満席となり、元プロレスラーのハルク・ホーガンやUFCのダナ・ホワイトCEO、ルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長、イーロン・マスク、タッカー・カールソン、先日共和党への鞍替えを宣言したトゥルシ・ガバード元下院議員、ロバート・ケネディ・ジュニア氏ら新旧MAGA軍団のおなじみの顔ぶれが応援演説を行った。これまで選挙集会への参加を控えていたメラニア夫人も登壇した。
1時間30分にわたる演説では、ニューヨークでの勝利への願望も語った。
「今晩集まっているニューヨークほどアメリカ人の精神とエネルギー、可能性を体現する都市はほかにない。われわれは国で勝利するが、ニューヨークでも勝利してアメリカを安全で強く、美しく、アフォーダブル、活気に満ちた国にしたい」。
勝利の可能性は?
カリフォルニアと並ぶディープなブルー州で勝利する可能性は極めて低い。
ニューヨークタイムズとシエナ大学による世論調査では、ハリス氏が支持率でトランプ氏を約40ポイント(66%対27%)リードしている。
ただし、2020年の選挙では、バイデン氏はトランプ氏に50ポイント以上の差(76%対23%)で勝利しており、民主党離れが深刻化する可能性が指摘されている。世論調査通りの結果となれば、マイケル・デュカキス氏とジョージ・H・W・ブッシュ氏が戦った1988年以来最小の差になるという。
保守化の傾向は連邦議員選挙にも現れている。
2020年は民主党は下院で2議席を失い、2022年は4議席失った。また同年の州知事戦では、キャシー・ホークル知事が対抗馬のリー・ゼルディン氏に予想外の苦戦を強いられ、最終的な差はわずか6ポイントだった。
タイムズによると、今年の大統領選では、全国的に見て共和党が2022年の中間選挙で好成績を収めた地域でトランプ氏が優位に立ち、その他の地域でハリス氏が持ちこたえるというパターンがみられるという。
こうしたパターンは「非常に異例」で、前回の中間選挙の性質が例年と異なっていたことがその理由として考えられるという。
パンデミックや1月6日議事堂襲撃事件の混乱後はじめての全国選挙の年となった2022年は、年間インフレ率が記録的水準に達していた。同年6月は、女性の人工妊娠中絶の権利を認めた1970年代の判断(ロー対ウェイド)が最高裁によって覆された。国境を超えた移民の数は276万人を超え、前年の最高記録を更新した。こうした一連の問題は、今年の選挙の大きな争点とされている。
ニューヨークでは中絶の権利は守られているものの、パンデミックによって最も大きな影響を受けた都市であるほか、住宅価格の高騰、移民の受け入れをめぐる問題も続いている。民主党にとってさらなるネガティブな要因としては、現職のエリック・アダムス市長(民主党)が先月、汚職や贈収賄で刑事告発されたことも挙げられる。タイムズがニューヨーク市民に実施した世論調査では、同氏の再選への支持率は12%まで低下した。(最も支持率が高かったのはなんとアンドリュー・クオモ元知事の22%)。
共和党の重鎮ニュート・ギングリッチ元下院議長は28日、FOXニュースのインタビューで、トランプ氏がニューヨークで勝つする可能性は低いとする一方、万が一勝利することがあれば、全国的に見てレーガン大統領以来の圧勝になるだろうと期待をのぞかせた。