カナダ政府は、米国が大統領選後、混乱に陥る可能性を懸念しているという。政治サイトPoliticoが、トルドー政権内に置かれたシンクタンク「ポリシー・ホライズン・カナダ」の報告書を元に報じた。
「Disruptions on the Horizon」と題された37ページの報告書では、何百人もの専門家や政府関係者に調査を実施した結果、カナダ政府が「十分に備えるべき」出来事の中の一つとして、「米国における内戦の勃発」が含まれている。
内戦については、「政治/地政学」のカテゴリーに含まれており、「米国のイデオロギーの分裂、民主主義の崩壊、国内不安がエスカレートし、内戦に突入」と簡潔に記されていた。
混乱の度合をチャート化した図表では、内戦の可能性は「低い」ものの、勃発した場合のインパクトについては5段階中の4を超えており、「世界大戦」の次に影響が大きいものとされた。4を超えるものには、「自作の細菌兵器の拡散」や「抗生物質耐性病原菌が引き起こす大量死」「食糧不足」などが指摘されている。
政治/地政学に関するその他の懸念事項には、「億万長者による世界の運営」、「カナダの統一国家の崩壊」「サイバー攻撃によって重要なインフラが機能停止」「民主主義制度の崩壊」「世界大戦の勃発」などが並ぶ。
記事を執筆したアレクサンダー・バーン氏は、トランプ時代の米国政治に関する数々の終末論的な予測は「思いつき」だったが、ポリシー・ホライズンの報告書に関しては、「友好国の厳格な一部門が、われわれの国家の崩壊を冷静に凝視しているという印象を受けた」と所感を綴っている。
カナダでは、1960年代にケベック独立運動が勃発。1970年にトルドー首相の父、ピエール・トルドー政権下で起きた「オクトーバー・クライシス」で、ケベック州のピエール・ラポルト副知事が分離主義者に誘拐され、殺害される事件が起きた。
バーン氏は、1月6日に起きた議事堂襲撃事件以降、米国で類似の事件が勃発すると考えるのは「突拍子もない推測ではない」と主張。米国版オクトーバー・クライシスへの懸念を示した。
なおポリシー・ホライズンが属するカナダの雇用・社会開発省の報道官は同氏に、報告書は「必ずしもカナダ政府や参加した各省庁の見解を反映したものではない」と回答している。
40%以上の米有権者が内戦の可能性
調査会社ラスムセン・レポートが先月公表した世論調査では、41%の有権者が、米国は今後5年以内に2度目の内戦に直面する可能性が高いと回答している。49%は内戦は起きない、10%は不明としている。
内戦の可能性があると答えた人のうち、37%はバイデン大統領の再選時に起きると回答。25%はトランプ氏が再選された時、30%はどちらが勝利しても起きうると答えた。